研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
15H05837
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土井 隆行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (90212076)
|
研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 中分子 / 環状ペプチド / 非天然型アミノ酸 / フロー合成 |
研究実績の概要 |
(1)環状ペプチドPF1171Fについて固相合成を活用して各種類縁体の合成を行った。それらについて蚕の麻痺活性を評価するとともにPAMPAを用いた膜透過性について評価した。その結果,活性のあった化合物はいずれも十分な膜透過性を示すことがわかった。また,立体配座解析の結果,溶液中の三次元構造は単結晶のX線結晶構造解析で得られた結果とよく一致し,アミドのNHおよびカルボニル基が分子内の水素結合するため,化合物の疎水性が大きくなり,それが十分な膜透過性が得られた要因となることがわかった。 (2)ピペリダマイシンFに含まれているヒドロキシピペラジン酸の効率よい不斉合成を確立し,アミノ基と別のピペラジン酸クロリドとの縮合反応を検討した。我々がこれまでに開発したSc(OTf)3を用いる縮合条件に付した結果,水酸基の保護基の種類により,縮合時のピペラジン酸のエピメリ化の割合が異なることを見出した。最終段階での脱保護が可能と考えられる保護基を選択し,ピペラジン酸のテトラペプチド体の合成に成功している。また,テイクソバクチンに含まれているエンドラシジジンの不斉合成法を確立した。 (3)アスペルテレスチドAの全合成を達成し,天然物の立体配置を明らかにすることができた。この際,天然物のNMR測定により得られている1H NMRのカップリング定数とNOE情報を,環状ペプチドの立体配座解析から得られる三次元情報と照らし合わせ,その立体配置を予想し,全合成により決定することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環状ペプチド化合物の立体配座と膜透過性の関係を明らかにし,各種非タンパク質構成アミノ酸の不斉合成法を確立し,天然物合成を達成するなど,研究は予定どおり進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
ピペリダマイシンFおよびテイクソバクシンの全合成を進める。フロー合成による不斉アルドール反応を確立したので,不斉マンニッヒ反応へ展開する計画である。
|