計画研究
計画では本年度前半までに①TMG-キトトリオマイシン合成をモデルとしたオリゴ糖合成の高効率化を完了し、年度当初から②硫酸化されたオリゴ糖のライブラリー合成に着手する予定であった。①については当初、糖供与体に対応する糖鎖ビルディングブロックに対してイオン液体タグを導入してオリゴ糖合成を計画していたが、糖供与体の水酸基に導入した場合にはイオン液体タグが立体選択性に影響を及ぼし、特に今回の合成では目的としないα体を選択的に与えることが分かった。そこで、糖受容体側の糖鎖ビルディングブロックに対してイオン液体タグを導入して、還元末端側からの糖鎖伸長反応を行い、TMG-キトトリオマイシン前駆体四糖の合成に成功した。②についてはこれまでに立体選択的合成に成功していた単糖がグルコサミンに限られていたため、グルコースとマンノースについて1,2-trans-グリコシド結合を選択的に与える糖鎖ビルディングブロックを開発した。隣接基効果を期待して、2位水酸基上の保護基を種々検討したが、いずれの場合も2位水酸基上にピバロイル基を導入した場合が最も高い収率で目的のグリコシドを与えることが明らかになった。マンノースの場合では6位水酸基にピバロイル基を導入した場合でもα選択的に目的のグリコシドが得られたことから、6位からの隣接基関与の可能性も示唆された。
2: おおむね順調に進展している
イオン液体タグによる糖鎖合成効率化に関しては予想外の立体選択性への影響から3か月程度予定をオーバーしたが、目的のTMG-キトトリオマイシン前駆体四糖の合成は予定通り達成し、イオン液体タグの効果も明らかに出来た。硫酸化オリゴ糖合成に関しては、基礎的な知見を集めることが出来、グルコサミン以外にマンノースやグルコースにまで基質拡張出来たのは大きな成果であると考えている。
まずはグルコースのみで構成されるオリゴ糖を合成する技術を確立し、並行してグルコースのグルクロン酸への変換や二種類の単糖を交互に液相電解自動合成するための装置開発も実施する。
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