研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
15H05847
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
跡部 真人 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (90291351)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロリアクタ- / 有機電解反応 / 生理活性物質 / 機能性中分子 |
研究実績の概要 |
本研究では、反応制御が容易で反応駆動に要する試薬が不要な有機電解プロセスの効率的なインテグレーション法を開拓し、生物活性物質や機能性中分子の創成に適用できる方法論として確立することを目的としている。とくに、電解プロセスで発生させた短寿命活性種の時間的・空間的な制御を念頭に置き、マイクロフロー技術との融合を推し進めるとともに、フロー技術の特長を活かした反応集積化により機能性中分子の効率合成を目指すことを最終目標に置いている。 具体的にはマイクロリアクター内の液-液平行流を利用した高効率的な電解反応プロセスの開発を中心に本年度(平成27年度)は研究を進めた。 芳香族化合物のクロスカップリングは合成化学上、非常に重要な反応の一つである。陽極酸化を用いた芳香族化合物のクロスカップリング反応において、マイクロリアクター内の液-液平行流を利用することでクロスカップリング体の高選択化が達成させるのではないかと着想し、この着想原理の妥当性について検証したところ85%という高い収率で目的クロスカップリング体の選択的合成に成功した。また、従来法のバッチ式リアクターで反応を実施した場合は収率が50%以下であったことから、マイクロリアクター利用技術の有用性が示された。さらに流速やリアクターの構造などの影響因子を綿密に検証し、芳香族化合物のクロスカップリング反応におけるマイクロリアクター利用のための一般的指針も獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用する電気化学マイクロリアクターは原則として予備研究と同一のものを利用したが、反応結果に応じてセルの改良を行うことも生じ、高度なリアクター作製技術が求められた。このため当該研究項目には予備研究において既に電気化学マイクロリアクターの設計・試作にあたり熟練した技術を習得している大学院生を充てることで、当初予定の研究遂行を円滑に実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成28年度)以降は電解反応をキーステップとする連続フロー反応システムの開発に主眼を置いて研究を展開する。 またさらに当該合成技術を領域内の他の研究者に提供、共同研究へと発展させることで、高次機能性中分子創製の加速化を促したい。
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