本研究は有機電解プロセスの効率的なインテグレーション法の開拓を指向し、有機電解プロセスとマイクロフロー技術との融合を推し進める。特に反応場が微小空間であるマイクロリアクターの特徴を利用し、電気化学的に発生させた高活性中間体の時間的・空間的に制御することで、従来のバッチ型の合成プロセスでは決して実現できない全く新しい合成反応システムの構築を目指すものである。 温和な反応条件下(常温、常圧)で、種々の反応活性種や中間体を発生できかつその寿命内において後続化学反応に付すことのできる電気化学マイクロリアクターは合成化学者にとって極めて有力なツールになるものである。そこで最終年度となる今年度も昨年度に引き続き、電気化学マイクロリアクター作製技術はもとよりその利用方法をA01班、A02班の班員に提供し、機能性中分子の効率合成を推進した。とりわけ、A02班の計画班員の野上准教授とは昨年度同様、共同研究を実施し、それぞれ短寿命活性種を利用した合成中間体の効率合成ならびに電解グリコシル化による生物活性オリゴ糖の大量合成を推し進めた。 また、さらにフローマイクロリアクターを用いた二酸化炭素を炭素源とする電解カルボキシル化にも着手し、α-アミノ酸の効率的合成も達成した。
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