計画研究
胚を様々な断面で切断した際の断面の凹凸を調べるなどの方法で,発生途中の胚内部の応力分布を明らかにすることを目指し,5年間に亙る研究を進めている.内部に局所的に引張とその反作用としての圧縮が作用した物体があった場合,これを力の作用方向と垂直な断面で切断すると,引張力の作用していた部分は陥没し,圧縮力の作用していた部分では突出する.この切断面の凹凸分布とスティフネス分布を調べ,計算機解析と組合わせることで,断面を平面に戻すのに必要な応力分布を求めると,これが胚内部の応力分布と見なせる.試料には従来,アフリカツメガエル原腸胚を用いてきたが,試料が非常に柔らかく,様々な工夫を試みてきたものの,切断面の詳細な形状を議論するのは困難であると判断せざるを得ず,それよりも発生段階が進み,組織が硬くなりつつある尾芽胚を中心に用いることにした.切断方法として,超音波カッターを用いた方法,高周波電流を流した直径20μmの微細白金線を用いる方法を様々な切削速度などで試み,最終的に白金線を用い,10mm/sで切断する方法を採用することにした.次に断面のスティフネス分布を求めるため,ビーズを均等に散布する方法の確立を進めた.直径100μmの金属粒子を等間隔で把持して胚断面の直上から落とすこととし,微細加工により直径40μmの吸引孔が300μm間隔に格子状に空いた板を作製し,この板にビーズを吸引して把持し,胚の直上で陰圧を解除,板に超音波振動を加えることで粒子を落とす方法を考えた.これにより粒子の落下位置のずれを従来の1/10以下の40μm程度にまで減らすことに成功した.
3: やや遅れている
当初雇用予定だったポスドクが突然,他研究機関での研究を希望し,当方への赴任を辞退したことによる人手不足,研究代表者が平成28年4月に研究機関を異動することになったため,実験装置の移送準備のため研究を年度末前に一旦,中止する必要が出てきたことなどのため.
早急に新任地での研究環境を立ち上げ,実験を再開するとともに,ポスドクを採用し,実験を加速する.原腸胚よりも尾芽胚の方が試料の操作が数段容易であること判ったので,今後は,尾芽胚を中心に据えて計測と解析を進める.
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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