生物の器官が作られる形態形成において、細胞個々には能動的・受動的な力作用が生じ、組織変形が現れる。本研究では、上皮の形態形成の力学を理解することを目的に、細胞の力学的ダイナミクスを捉える数理モデルとして、3Dバーテックスモデルを開発し、発生現象の解析に応用した。これにより、力学的な擾乱に対して形態形成がロバストに進む仕組み、遺伝子発現レベルの場の区分けから上皮組織の立体化が生じる仕組み、上皮組織の折り畳みを生み出す力学的な仕組みを明らかにした。これらの研究を通じ、形態形成の仕組みの解明には、細胞レベルの力学を捉えることが重要であることを提示し、発生生物学領域における力学分野を大きく発展させた。
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