計画研究
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて神経管の頂端面、基底面および神経管を裏打ちする中胚葉の弾性計測を体系的に行い、非神経外胚葉は弾性変化を示さないのに対し、神経管組織の頂端側は時間経過とともに硬くなること、頂底面の弾性バランスが逆転すること、側方中胚葉の弾性は時間経過と主に上昇するという知見をもとに、2019年度は、アクトミオシン系の活性化を阻害する阻害薬や構成的活性化型ARHGEF2やミオシン調節軽鎖(MRLC)の局所的発現により、側方中胚葉組織の弾性を高めたところ、神経管閉鎖に異常が見られたことから、細胞シートの折りたたみ形状と管の最終形態は頂端側と基底側および周辺組織の硬さのバランスにより決定されるとの仮説が正しいことを示唆する結果を得た。また、胚への機械刺激の負荷によって、ERKの活性化を介して密着結合(タイトジャンクション, TJ)の構成タンパク質ZO-1がTJに局在するという2019年度に得られた新たな知見をもとに、これにより細胞・組織がより細胞-細胞接着を基盤とした統合性を高め、組織変形に対して強固になるということをAFMによる弾性計測で立証した。これは、力学刺激に対する組織の統合性を保つための生体の適応的応答で、細胞・組織の変形を伴う胚発生の過程でいわゆる「メカノケミカルフィードバック機構」が存在することを示唆するものであると考えており、この細胞変形による力学感知からZO-1のTJへの局在化に至るまでの経路を明らかにし、神経管形成における同経路の解明研究へと発展した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Cell Rep.
巻: 30 ページ: 3875-3888
10.1016/j.celrep.2020.02.074
Cell Syst.
巻: 8 ページ: 226-241
10.1016/j.cels.2019.01.006
http://www.3d-logic.jp/