計画研究
病的大脳皮質領野レベルでは、皮質脳波の広域周波数帯域解析を継続した。1)臨床データで能動的と受動的DC電位の概念を導入することに実証データとして成功し、動物データでもほぼ成功した。2)DC電位とHFOの相互作用がてんかん原性に関わることを2016年度に見いだしたが、多数例の解析を効率的に進めるため自動検出プログラムを開発した(論文準備中)。3)発作時DC電位、HFOの3次元電流源推定を行い、HFOよりもDC電位の電流源が画像・脳磁図による病変とより合致することを明らかにした(論文準備中)。皮質の高周波の振動現象に関して、1)覚醒時より徐波睡眠期に低周波との異周波数帯域間結合が強まることを明らかにした(国内・国際学会発表)。2)刺激誘発性高周波活動の挙動から、レム睡眠内の急速眼球運動出現時は覚醒時により近いことを明らかにした (論文発表)。3)課題下の皮質脳律動のデコーディングから、同側運動や意味記憶にかかわる神経基盤を明らかにした(論文発表・順備中)。時相的振動解析から、1)ヒト脳の発達段階におけるてんかん性脳症の頭皮脳波を解析し、非侵襲的に検出される病的HFOの有無と棘波の双極子発生源の有意な関連(論文発表)、2)点頭てんかんの病的HFO発生時相と発作時徐波の位相の連関(論文発表)、3)小児期ミオクロニー発作に伴う病的HFOの特徴を示し(論文発表)、小児期の病態とHFO 特性を解明した。解析プログラムを用いて病的HFOの半自動同定に成功した。外的な律動制御法として、焦点への皮質電気刺激や迷走神経刺激が臨床応用として、1)迷走神経刺激の作動原理に脳電位の陽性変位が関連することを明らかにした(論文発表)。2)50 Hz電気刺激がてんかん関連の広域周波数帯域脳活動を抑制し、棘波を減らすことを明らかにした(国際学会発表・論文準備中)。
1: 当初の計画以上に進展している
てんかん病態において、1)DC電位に能動的と受動的DC電位の概念を導入し、実証データが得られた。2)低周波数と高周波数の振動現象が発作時のみならず発作間欠期においても密接に関わることを示すことができ、発作発現に至る病的遷移の解明に向けて解析が進んだ。3)生理的および、病態下の振動現象について異周波数帯域間結合の解析を用いて、皮質領域内の低周波数と高周波数間におけるクロストークが覚醒・睡眠段階に応じて変容し、深睡眠期に強まることを明らかにした。4)病的および生理的振動現象の異周波数間の情報伝達の方向性を明らかにするため、B班と共同で移動エントロピーの解析や、振動子を用いた数理モデルの解析を行い、理論データと実データとの比較を行っている。発作時の数理モデルの構築が進行し、結果が得られている。ついで、発作間欠期のDC電位のグリアとの関連も結果が得られている。皮質領域間の脳律動現象に関しては、1)単発刺激を外的入力のモデルとすることで、ヒト大脳皮質に誘発される高周波の振動動態を明らかにし、2)てんかん焦点での皮質興奮性の変容、およびレム睡眠期の変容を解明中である。局所神経回路レベルでは、1)てんかんモデル動物(常染色体優性外側側頭葉てんかんモデルラット)におけるミクロ及びマクロ脳波記録に着手し、てんかん発症過程において、グリア細胞のカリウム緩衝機能が障害されていることを免疫組織化学的に明らかにした。時相的な観点から、1)発達段階の小児てんかん患者で、頭皮記録から解析可能な病的HFOを半自動解析プログラムを用いて同定した。臨床所見との相関を含めて論文発表準備中である。内的・外的律動制御の作動原理の解明に関しては、1)50 Hz電気刺激がてんかん関連の広周波数帯域の脳活動を抑制することを明らかにし、2)迷走神経刺激を用いた外的な律動制御の作動原理に脳電位の陽性変位が関連することを見いだした。
大脳皮質領野レベルでは、1)発作時の能動的と受動的DC電位を実データとモデル解析の両者からの検証をさらに進める。2)皮質脳波の低周波数と高周波数の振動現象の出現様式・相互作用の観点から、発作間欠期からてんかん発作への遷移の動態を、多数例と動物モデルで確認する。皮質領域間レベルでは、1)てんかん原性バイオマーカーとしての刺激誘発性高周波活動の有用性を検証する。2)ヒトてんかん焦点における興奮・抑制変容機構の解明を目指す。B班と連携し、上記の振動現象の数理モデル構築を進める。1)てんかん発作時のHFOとDC電位を含めて表現できるモデル方程式を導出し、既に得られた数理マーカー候補の検証を進める。2)高次脳機能遂行下のeffective connectivity 解析やコヒーレンス解析手法を用いた重回帰解析から機能領域間の結合動態の解明を推進する。局所神経回路レベルでは、1)てんかんモデルラットの広域周波数帯域局所電場電位と活動電位記録を継続し、両者の相互作用、刺激外乱による振動現象変容、振動現象の発生基盤の病理組織的変化を探る。時相的な観点から、1)ヒト脳の発達段階に特有のてんかん性脳症を含む患者で、頭皮上および頭蓋内脳波で記録されるHFOとてんかん性脳症発現機構の関連を解明する。頭蓋内脳波での事象関連電位記録から発達段階での正常脳機能を明らかにする。2)病変部位、発達段階や脳障害との関連を分析し、神経ネットワークを病的HFOが阻害する過程を明らかにする。3)病的HFO発生機構の解明に、イオンチャネルの遺伝子変異モデル動物と神経ネットワークのシミュレーションを用いた研究の準備に着手する。外的な律動制御に関して、C班と連携し局所とネットワークレベルの生理的および病的振動の変容を、動物記録にて、生理機能(運動やてんかん病態)と関連させて解析する。慢性てんかん動物モデルでてんかん発作時脳波記録を継続する。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (43件) (うち国際共著 10件、 査読あり 41件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (110件) (うち国際学会 38件、 招待講演 40件) 図書 (45件) 備考 (1件)
てんかん研究
巻: 35 ページ: 684-692
10.3805/jjes.35.684
神経心理学
巻: - ページ: -
臨床神経生理学
巻: 46(1) ページ: 25-32
10.11422/jscn.46.25
Neurosurgical Review
巻: 41(2) ページ: 557-565
10.1007/s10143-017-0891-3
internal medicine
10.2169/internalmedicine.9433-17
Nature Genetics
巻: 50 ページ: 581-590
10.1038/s41588-018- 0067-2.
Brain & Development
巻: 40 ページ: 397-405
10.1016/j.braindev.2018.01.004
臨床神経学
巻: 57 ページ: 430-435
10.5692/clinicalneurol.cn-001001
巻: 45 ページ: 91-101
10.11422/jscn.45.91
巻: 57 ページ: 37-40
10.5692/clinicalneurol.cn-000936
巻: 57 ページ: 110-117
10.5692/clinicalneurol.cn-000990
巻: 57 ページ: 457-460
10.5692/clinicalneurol.cn-001049
巻: 35(1) ページ: 3-13
10.3805/jjes.35.3
巻: 45 ページ: 520-524
10.11422/jscn.45.520
Clinical Neurophysiology
巻: 128 ページ: 1583-1589
10.1016/j.clinph.2017.05.019
Journal of the Neurological Sciences.
巻: 375 ページ: 94-96
10.1016/j.jns.2017.01.054
Clinical Neurophysiology.
巻: 128 ページ: 1673-1681
10.1016/j.clinph.2017.06.249.
World Neurosurgery.
巻: 107 ページ: 239-248
10.1016/j.wneu.2017.07.166.
巻: 128 ページ: 734-743
10.1016/j.clinph.2017.01.010.
Therapeutic Drug Monitoring.
巻: 39 ページ: 124-131
10.1097/FTD.0000000000000383
Stem Cell Research.
巻: 24 ページ: 12-15
10.1016/j.scr.2017.07.030
Sleep.
巻: 16 ページ: -
10.1093/sleep/zsx077.
Human Brain Mapping.
巻: 38 ページ: 1977-1991
doi: 10.1002/hbm.23498
Epilepsia Open
巻: 2(2) ページ: 260-266
10.1002/epi4.12043
Epilepsia
巻: 58(8) ページ: 1316-1329
10.1111/epi.13829
Epileptic Disprders
巻: 19(4) ページ: 465-470
10.1684/epd.2017.0942.
Neuroimage
巻: 15;147 ページ: 302-313
10.1016/j.neuroimage.
Epileptic Disorders
巻: 9(3) ページ: 327-338
10.1684/epd.2017.0929.
World Neurosurgery
巻: 106 ページ: 1-8
10.1016/j.wneu.2017.06.116
Seizure
巻: 44 ページ: 27-36
10.1016/j.seizure.2016.11.003.
Frontiers in Pharmacology
巻: 8 ページ: 1-11
10.3389/fphar.2017.00057
巻: 58 ページ: 53-67
10.1111/epi.13909
巻: 58(8) ページ: 1305-1315
10.1111/epi.13814
巻: 58 ページ: 10-27
10.1111/epi.13903.
巻: 58 ページ: 28-39
10.1111/epi.13905.
巻: 58 ページ: 40-52
10.1111/epi.13901
Journal of Voice.
10.1016/j.jvoice.2017.08.026
Frontiers in Molecular Neuroscience
巻: 19 ページ: 408
10.3389/fnmol.2017.00408
Neurology and Clinical Neuroscience
巻: - ページ: 44-45
10.1111/ncn3.12105
巻: 128 ページ: 2334-46
10.1016/j.clinph.2017.07.418
Acta Medica Okayama
巻: 71 ページ: 191-200
10.18926/AMO/55201
巻: 107 ページ: 226-232
10.1016/j.wneu.2017.07.161.
Journal of Neuroendovascular Therapy
10.5797/jnet.cr.2017-0092
http://epilepsy.med.kyoto-u.ac.jp/results