研究領域 | 非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解 |
研究課題/領域番号 |
15H05879
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
虫明 元 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80219849)
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研究分担者 |
井上 謙一 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90455395)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 脳波 / 脳活動の振動 |
研究実績の概要 |
今年度は 内因性振動と外因性振動や刺激との相互作用を解析する実験系を立ち上げた。内因性振動は内因性振動の光学的な計測で大脳皮質表面を広く記録した。 その結果 ゆっくりとした振動が進行波のように移動する様子をとらえた。 さらにこの振動波は、外部の刺激に対して位相依存的に応答性が変化することが観察された。周期的な刺激に対しては、最適な周期があり周期選択性があった。また別途局所電場電位の振動から ベータ波とガンマ波の動態を調べ、運動プログラムの維持と更新に関係している事を見出した。さらに ベータ波の低下はその後の動作のエラーの増加を予測でき、ベータ波の低下が情報の遷移を引き起こすことに関与する事を見出した。 脳の情報表現としては、しかし決して安定であることはなく、課題の進行状況とともに変化することも見出している。 技術的には光学系の信号記録と電気生理的信号記録、さらには光操作を加えた実験系を構築することができた。 研究分担者である井上は、軸索末端の光刺激により特定の神経路に選択的な興奮を引き起こし、行動変化を惹起させ当該回路の役割を明らかにする手法をサルで確立できた。同手法を律動に関与する神経回路に効率的に適用するため、プロモーターの検討等を含むウイルスベクター検証実験を進め、発現量と感染選択性が最適化されたウイルスベクターシステムの開発を行なった。また律動現象に関連する機能分子の発現などの制御を可能とするベクターシステムの開発を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
光学的な脳の広範な記録から、ゆっくりとした脳活動の振動が進行波のように移動する現象を麻酔下で見出した。されに これが 外部の周期的な刺激である特定の周期で引き込む事ができることが予想外の結果であった。また ベータ波とガンマ波の意義に関して 維持と更新に関わり 特にこの所見がパーキンソン病などの病像と整合的に解釈できることが意義があった。
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今後の研究の推進方策 |
内因性振動と外因性の刺激や操作との相互作用がどのようい起きるか、また内因性振動が外部からの刺激への応答性に影響をあたえるかを解明していきたい。またゆっくりとした内因性振動が 血行動態と関わるのか また関わるとしたら神経活動の血行動態の因果関係をさらに突き止めることで、神経と血行動態の間の拘束条件を明らかにしていきたい。
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備考 |
東北大学大学院医学系研究科 生体システム生理学分野 http:/www.neurophysiology.med.tohoku.ac.jp/
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