研究領域 | 非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解 |
研究課題/領域番号 |
15H05881
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
宇川 義一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50168671)
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研究分担者 |
花島 律子 北里大学, 医学部, 講師 (80396738)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | connectivity / fMRI / 小脳 / 大脳基底核 / 脊髄小脳変性症 / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
脳に存在する固有のリズムと脳が時間をどのように判断しているかを解析する事により、脳内でのオシレーション現象を理解する事を目的として、本年度は、以下の二つの研究を行った。 小脳での時間処理機能、3秒ルールの神経機構(PLoS One. 2015 Feb 23;10(2):e0118592 doi: 10.1371/journal.pone.0118592. eCollection 2015.):外からのリズムに合わせて、タッピングを行う実験を、正常被験者、脊髄小脳変性症患者で施行した。与えるリズムを200msから4800msまで様々にすりわけ、その結果を解析した。タッピングタスクにおいて、短い時間間隔では、タイミングを予想して音に合わせてタッピングが出来ていて、音のする前から運動は開始している。しかし、長い間隔になると、予想では不正確なため、音の後にタップするようになる。このストラテジーを変える、変更時間間隔が正常では4秒前後であるが、小脳疾患患者では1.8秒であった。小脳で、およそ3秒の時間を保持している機能があると言う以前からの事実と一致していた。 脳機能画像でのconnectivity 解析によるヒト脳でのドパミンの影響 パーキンソン病患者での解析を含めて:fMRIでの安静時connectivityの解析を、正常被験者、パーキンソン病患者で施行した。特に大脳基底核と大脳皮質の間での結合に注目した。ドパミンのオン、オフでの比較も行った。正常者に比較して、パーキンソン病患者では結合が弱い部位があり、それがドパミンにより改善した。この所見が、結合具合の周波数により、明かが差異があり、これが大脳基底核―大脳皮質の連関におけるオシレーションと関連すると思われた。今後、領野間のオシレーションと臨床症状との関連を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定になかった、3秒ルールに関する研究が出来た事は、良かったと考える。特に、脳での時間処理きのうは、何らかの内的オシレーション機構との同期を取りながら行われていると予想され、重要な所見が得られた。また、機能画像を用いたconnectivity の研究は順調に進んでいる。一方、術中のlocal field potential の解析を用いたオシロロジー研究は予定より、すこし遅れている。予想より、ソフト開発に時間がかかった事と、手術件数が思うように伸びなかった事による。
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今後の研究の推進方策 |
来年度からも、機能画像による解析を継続して、脳内のリズムに関する研究を進める。また、手術症例をふやして、当初の研究をする予定である。また、モデルグループ、動物実験グループとの連携を取り、解析を進める。
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