計画研究
強相関多極子伝導系の物質探索と電子状態計算などを行い、以下の成果を得た。(1) BaPtAsにおける2つの六方晶の多形と超伝導を見出した。さらにBaPtSbのミュオン実験を行い、カイラル超伝導状態を示唆する結果を得た。(2) 新しいファン・デル・ワールス超伝導体Na(1-x)Sn2P2を発見した。さらにNaSn2As2においてSnのバレンス・スキップ効果を見出した。(3) 岩塩型ブロック層を有する新規超伝導体La2O2Bi3AgS6を発見し、ブロック層による物質設計の有効性を示した。(4) Agをドープしたトポロジカル絶縁体Bi2Se3における圧力誘起超伝導相を発見した。(5) スピン軌道型モット絶縁体Sr2IrO4への高濃度電子ドープを進めた。STM/STS測定からLaが不均一に置換され、低エネルギーに不均一なギャップ構造が現れることを明らかにした。(6) 非磁性基底二重項をとるPr希薄系Y(Pr)Ir2Zn20の電気抵抗率と比熱の非フェルミ液体的な温度依存性が、組成ごとの特性温度でスケールできることを見出し、単サイトの四極子近藤効果を提案した。(7) 同型のNd化合物では、磁性をもつ二重項に起因した非フェルミ液体的挙動を見出した。(8) 立方晶PrMgNi4の結晶場基底状態が非磁性二重項であることを同定し、0.1 Kまで相転移を示さないことを明らかにした。(9) 反転対称性のない化合物U3Ni4Sn4、Yb4Sb3、UPt5のスピン自由度で分裂したフェルミ面を明らかにし、量子振動現象の軌道交差について考察を行なった。この他、重い電子系化合物を中心とした多くの化合物の電子状態を、電場勾配やフェルミ面の実験との比較から明らかにした。(10) URu2Si2の隠れた秩序の秩序変数をランク5の電気32極子であることを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
以下の点において当初の計画以上に進展している。(1) ハニカム構造を持つ超伝導体BaPtAsとBaPtSbが見出され、ミュオン実験が実施され、理論的に予測されたカイラル超伝導状態を示唆する緩和率の変化が観測された。次年度もJ-PARCにおいてミュオン実験を実施することになっている。さらに、カイラル超伝導状態の理論について研究項目C01との連携研究が進んでいる。(2) 新しいファン・デル・ワールス超伝導体Na(1-x)Sn2P2が見出された。またSnのバレンス・スキップ効果という、新しい高温超伝導メカニズムに繋がる効果が見出された。(3) 四極子近藤効果の希薄系の研究が進んでいる。(4)スピン分裂したフェルミ面の計算から、量子振動現象の軌道交差に関する理解が進展した。(5) また、12月にニュージーランドにおいて「jフェルミオンの物理と物質」に関する国際ワークショップを開催した。
計画研究間、計画研究と公募研究間での共同研究を積極的に進める。特に、以下の研究項目について共同研究を推進する。(1)ウルマナイトおよび関連化合物における量子輸送現象、特に金属状態で現れる巨大熱起電力の理解と、ウルマナイト化合物において報告されている弱い超伝導の正体の解明。(2) BiやPbなどにおける孤立電子対効果とバレンススキップ効果を利用した物性開発。(3) 四極子が活性となる新たな立方晶化合物の開発。(4) Sr2IrO4への高濃度キャリア注入の実験的実現。(5) f電子化合物において初めてスキルミオン形成が確認されたEuPtSiのフェルミ面のスピン構造の決定。また、研究者間の連携促進と5d電子系における物質開発と物性開拓の強化を念頭に、6月に九州工業大学において研究会を開催する。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (38件) (うち国際共著 10件、 査読あり 38件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (99件) (うち国際学会 37件、 招待講演 13件) 図書 (1件) 備考 (5件) 産業財産権 (1件)
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