研究領域 | なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 - |
研究課題/領域番号 |
15H05888
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 節 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70162386)
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研究分担者 |
横山 順一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50212303)
高橋 智 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60432960)
山口 昌英 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 教授 (80383511)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | インフレーション宇宙 / 量子揺らぎ / 宇宙背景輻射 / 重力波揺らぎ |
研究実績の概要 |
2016年2月にブラックホール連星系からの重力波の直接観測が直接観測されたことが発表されたため,そのインフレーション宇宙理論への意義を急遽追求した。そして,今後の重力波観測とCMB観測を合わせることによってインフレーション宇宙起源の原始ブラックホールである可能性を検証できることを示した(佐々木,須山,横山修)。
当初計画にそった研究成果は以下の通りである: 一般化された重力理論の下で,インフレーション宇宙が初期特異点のない平坦な時空から始まるモデルを構築した。また,原始重力波の非ガウス性を網羅的に評価した(小林)。素粒子のNMSSMと呼ばれる超対称性理論モデルにおける宇宙論的問題のひとつ,ドメーンウォール問題を解決した(山口)。ド・ジッター時空におけるシュビンガー効果を計算し,対生成で誘引される電流が不安定性となる可能性をしめした(横山順)。近い将来の大スケール銀河分布の観測から期待される初期密度揺らぎの非ガウス性に対する制限を評価した(横山修)。一般相対論と拡張重力理論における重力的粒子生成の効率を見積もり,ある種の拡張重力理論では重力的粒子生成の効果が非常に大きくなることを示した(中山)。小スケールでの宇宙背景輻射のスペクトルの歪みの観測から,インレーション宇宙モデルに制限がつけられることを示した(高橋)。原始揺らぎの非線形が宇宙背景輻射に及ぼす影響を計算するため,テンソルモードも含め,かつすべての偏光にも対応する定式化を完成した(佐々木)。これまでに知られていた問題をすべて解決する,インフレーション宇宙起源の新たな宇宙磁場生成機構を提唱した(佐々木)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連携研究者も含めたメンバー全員それぞれが,それぞれのテーマに関して着実に研究を進めており,インフレーションの物理とその機構,様々なモデルの特徴やそれらの観測的検証など,インフレーション宇宙の多角的理解が着実に深まっている。
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今後の研究の推進方策 |
当計画研究班メンバー各自の研究は着実に進んでおり,この流れを止めずに今後も各自が各自のテーマをひとつひとつ進めることが一番重要である。そのうえで,さらにインフレーション宇宙の多角的理解を進め,より統一的理解を得るために,メンバー間のより緊密な研究打合せと他の計画研究班との連携を深める必要がある。
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