計画研究
ダークエネルギーの起源となるスカラー場またはベクトル場が,完全流体で記述されるダークマターと結合している理論において、物質揺らぎの基礎方程式の導出とダークマター揺らぎの成長率に関して一般的な定式化を行った。さらにこのような理論を拡張させ。ダークエネルギーとダークマターがともに完全流体であり、4元速度の差を通じて両者が結合している理論を、ラグランジアンのレベルで定式化した。その枠組みにおいて,有効な宇宙の後期加速膨張の模型を構築し,2つの暗黒成分の間に運動量の交換がある場合に,ダークマター揺らぎの成長率が抑制されることを示した。さらにこの模型に対して観測データを用いた統計解析を行い、標準的な宇宙項模型よりも観測的に好まれることを示した。さらにダークエネルギーとダークマターが結合している有意な観測的な兆候を得た。次に、アインシュタイン重力を拡張した様々な模型について、その検証の可能性について調べるとともに、理論的及び観測等から来る様々な制限を解決する模型の構築を行った。特にこれらの重力理論に特有なブラックホール等の古典解の性質、特に熱力学的振舞の検証を行うとともに、近年多くの研究者の注目を集めている Hubble tension の問題の解決をする模型を提案した。また、拡張重力理論による中性子星への影響とその観測的可能性等を行った他、これらの模型に関係する量子論についての研究を行った。ダークエネルギーを担うような軽い質量のスカラー場は電磁場との相互作用により光子の偏光面を回転させる効果がある。その宇宙論的効果とCMBの検出機器の系統誤差とをCMBの前景放射を用いることで分離する手法を構築した。またこのようなスカラー場が暗黒物質の一部を担っていた場合に、宇宙大規模構造の小スケール密度揺らぎに与える影響が将来の21cm線吸収線系の観測でどれくらい探査できるかについて明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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