研究領域 | なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 - |
研究課題/領域番号 |
15H05892
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
宮崎 聡 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (20290885)
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研究分担者 |
高田 唯史 国立天文台, 天文データセンター, 准教授 (10300708)
古澤 久徳 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (10425407)
小宮山 裕 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (20370108)
山田 善彦 国立天文台, ハワイ観測所, 専門研究職員 (30751010)
田中 賢幸 国立天文台, ハワイ観測所, 特任助教 (50589207)
大栗 真宗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60598572)
浜名 崇 国立天文台, 理論研究部, 助教 (70399301)
川野元 聡 国立天文台, ハワイ観測所, 専門研究職員 (90727398)
中野 淳 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70735620)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 宇宙論 / 天文学 / 物理学 |
研究実績の概要 |
平成28年度末までの段階で、HSCによる広視野サーベイ観測は130晩が完了した。観測した天域の広さは、400平方度に達し、重力レンズ解析で重要なフィルター(HSC-iバンド)のシーングの中央値は0.56秒角と極めて良好である。深さは当初予定通り、同バンドで26等級に達し、広さ・深さ・結像性能ともに、世界でも一線級のデータが取得できた。 画像解析システムは、本計画研究のメンバーが中心となり開発を続けてきているが、平成28年度は、画像解析ソフトウェアーと質量マッピング解析エンジンを組み合わせて、分散解析の試験を行い、プロトタイプが完成した。また、画像上の各種情報(非常に明るい星に近い、複数の天体が重なっている、宇宙線の秘跡が残る等)を保存するマスクレイヤーの充実をはかり、そのデータをデータベース上に展開し、天体情報の高速検索を実現した。さらには、画像ビューアー(hscMap)の機能の充実及び高速化に成功し、数10平方度の鳥瞰図から、1秒角(数画素)領域の拡大まで、マウススクロールだけで容易行えるようになった。hscMapの開発は、当初研究計画になかったが、画像閲覧の効率化の必要性を認識し、新たに行ったものである。 平成29年2月には、探査観測の初期に取得した100平方度分を、多様な研究に役立つことを期待して、全世界に向けて一般公開した (Public Data Release)。ビューワーであるhscMapを利用して、高等学校での授業での利用の試行も始まっている。 一方、取得したデータを用いた科学研究も進めており、今年度は、視線双方向にレンズ源がたまたま2つ重なった強重力レンズ像 (Tanaka et al. 2017)、非常に暗くこれまでは検出が困難だった我々の銀河系の伴銀河の発見(Homma et al. 2017)等HSCの特徴を活かした、発見的な観測成果をあげることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HSCの検出効率の時間変化を監視・記録する校正装置は完成し、昨年度から運用を開始する予定であった。これにより、測光精度の信頼性を向上させる予定であった。当初、望遠鏡の鏡筒への光ファイバーバンドルの設置を、主鏡再蒸着による望遠鏡運用停止期間に行う予定であったが、主鏡最蒸着がミラーハッチの故障により一年延期されたため、ファイバー設置ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降も、引き続き、HSCのデータを用いた天文学研究を行う。特に、すでに広域質量分布図が得られてきているので、宇宙論的研究にさらに力点を置く。校正装置は、平成29年度の晩夏から初秋にかけて予定されている再蒸着期に設置する予定でいる。 これまでの技術検討を踏まえ、平成29年度から開発を開始するCMOSの暫定仕様を決め、またCMOS読み出し回路のフロントエンド部(高速デジタル入出力回路)の開発をメーカーとともに、行ってきている。これをうけ、新型CMOSの第一回試作も平成29年度に行う。CMOS読み出し回路は、残っている駆動ソフトウェアーの開発を素子開発と並行して、最終的にはセンサーと組み合わせて読み出せるようにする予定である。平成30年度は2度目のCMOSセンサーの試作を行い、平成31年度にすばるへの搭載・試験観測を目指す。
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