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2018 年度 実績報告書

リポクオリティが制御する膜マイクロドメインの動態と機能

計画研究

研究領域脂質クオリティが解き明かす生命現象
研究課題/領域番号 15H05903
研究機関国立研究開発法人国立国際医療研究センター

研究代表者

反町 典子  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 分子炎症制御プロジェクト長 (30217468)

研究分担者 田口 友彦  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10300881)
研究期間 (年度) 2015-06-29 – 2020-03-31
キーワード膜マイクロドメイン / 炎症 / シグナル伝達
研究実績の概要

反町らは自然免疫細胞の膜マイクロドメインの構築と機能を、好中球のケモタキシスに着目して解析を進めた。MHCクラスIとそのシス型C型レクチン受容体Ly49Qによって構築される膜ドメインが、SHIP1およびSHIP2の局在制御を担うことを見出した。興味深いことに、Ly49Qは好中球のケモタキシスの際にuropodへのSHIP2の集積を媒介し、これによりuropodの安定化を担っている可能性を見出した。また好中球の極性形成にはダイナミンに依存したエンドサイトーシスが方向決定に必要であることを見出した。分担者の田口らが開発した細胞毒性が極めて低いスフィンゴミエリン(SM)選択的プローブ(改変型equinatoxin-II)と種々の脂質プローブを用いてLy49Q 周辺膜脂質の脂質分子種および分布を解析した結果、Ly49QはSM、コレステロール、GM1が濃縮した膜ドメインを構築し、細胞表面のみならずエンドリソソームにおいてもこれら脂質によって構築される膜ドメインがLy49Q依存的に検出された。一次構造よりLy49Qの膜貫通領域近傍に脂質相互作用モチーフを見出し、これらの構造を介してスフィンゴ脂質と相互作用をしている可能性が強く示唆された。
また分担者の田口らは、SM選択的プローブ(改変型equinatoxin-II)により細胞内のSMを可視化したところ、トランスゴルジネットワーク、リサイクリングエンドソーム、そしてリソソームなどのオルガネラの細胞質側脂質層にSMが存在していることを示唆するデータを得た。また、トランスゴルジネットワークに局在するSMは、活性化状態にある自然免疫分子STINGと非常に良く共局在することが明らかになった。これらを通じて、炎症を惹起する自然免疫センサーSITNGのシグナル伝達プラットフォームとして、ゴルジ体における膜脂質ドメインの機能的重要性を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

蛍光標識脂質プローブを用いて、炎症過程での膜脂質ドメインの動態の解析を試みているが、感度およびレーザーの連続照射による細胞死のため、測定ができていない。COS細胞、CHOといった細胞では可能な技術も、好中球、マクロファージなどのex vivo自然免疫細胞では条件設定に困難が生じている。

今後の研究の推進方策

新規のスフィンゴミエリンプローブと既存の脂質プローブを組み合わせ、自然免疫細胞の炎症応答の際して特定の膜脂質の局在を、タイムラプスではなく時間経過を追った固定点での測定に切り替えて解析し、論文化を進めていく。質量分析では明らかにできない、細胞機能の発現における膜脂質の局在意義を、脂質局在を制御する膜タンパク質を操作することで明らかにしていく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Exosome-associated Shiga toxin 2 is released from cells and causes severe toxicity in mice.2018

    • 著者名/発表者名
      4.Watanabe-Takahashi M, Yamasaki S, Murata M, Kano F, Motoyama J, Yamate J, Omi J, Sato W, Ukai H, Shimasaki K, Ikegawa M, Tamura-Nakano M, Yanoshita R, Nishino Y, Miyazawa A, Natori Y, Toyama-Sorimachi N, Nishikawa K.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 8 ページ: 10776

    • DOI

      10.1038/s41598-018-29128-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 炎症・感染応答を担うオルガネラ2018

    • 著者名/発表者名
      小林俊彦、向井康治朗、田口友彦、反町典子
    • 雑誌名

      臨床免疫アレルギー科

      巻: 69 ページ: 99-106

  • [学会発表] Regulation of the allergic inflammation by non-canonical type I interferon signaling.2018

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T., Toyama-Sorimachi, N.
    • 学会等名
      6th Annual Meeting of the International Cytokine & Interferon.
  • [学会発表] Regulation of the allergic inflammation by non-canonical type I interferon signaling.2018

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T., Tsutsui, H., Toyama-Sorimachi, N.
    • 学会等名
      第47回日本免疫学会学術集会・総会
  • [学会発表] Controlling the innate immune signaling by the proton-coupled peptide transporters.2018

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T., Toyama-Sorimachi, N.
    • 学会等名
      The 9th Federation of Asian and Oceanian Physiological Societies Congress
  • [学会発表] リソソーム局在型アミノ酸トランスポーターに依存した炎症制御機構2018

    • 著者名/発表者名
      反町典子、小林俊彦.
    • 学会等名
      感覚免疫研究会2018
  • [学会発表] トランスポータータンパク質を標的とした自己免疫疾患治療薬の探索2018

    • 著者名/発表者名
      Noriko Toyama-Sorimachi
    • 学会等名
      第138年会日本薬学会シンポジウム
    • 招待講演
  • [備考] 国立国際医療研究センター研究所分子炎症制御プロジェクト

    • URL

      http://square.umin.ac.jp/Sori_Lab/

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公開日: 2021-01-27  

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