研究領域 | がんシステムの新次元俯瞰と攻略 |
研究課題/領域番号 |
15H05913
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武藤 香織 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50345766)
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研究分担者 |
丸 祐一 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10466708)
東島 仁 山口大学, 国際総合科学部, 講師 (80579326)
井上 悠輔 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30378658)
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研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 倫理・法制度・社会的課題(ELSI) / 研究倫理 / 人工知能 / ゲノム / がん |
研究実績の概要 |
1. ELSI/RRI事業における評価手法や評価視点の変化について把握するため、EUと米国の報告書を精査した。 2. 人工知能(AI)技術に医療応用に関わる諸問題の中でも、日米で研究利用が先行しているIBM社のWatsonを例として、倫理的・法的観点から主として以下の二点を検討した。第一に、AI技術を用いた診断支援システムに対する薬事規制である。日米とも医療用ソフトウェアが薬事規制対象になっているが、米国では、2016年末に成立した「21世紀治療法」によりソフトウェアが医療機器に該当「しない」基準が示された。第二に、未承認薬への患者アクセスについてである。AI技術から治療選択肢として国内未承認薬が提示された場合、患者がそれをどう利用できるかが課題となる。日米とも、未承認薬へのアクセスを認める方策があるものの、その範囲をどこまで拡大すべきかは不確定であることが明らかになった。 3. AI技術の医療応用にあたって、社会的受容性を検討するため、一般市民2,489名を対象とした意識調査を実施し、分析に着手した。調査項目は、人工知能の認知度、活用を期待する分野、活用に対する懸念などとした。 4. 家族性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)について、当事者団体への予備調査を行い、データ共有に関する倫理的な課題を精査するとともに、患者・家族の立場からみたリスク低減型手術の意義、データ利用のリスク認知や遺伝情報差別禁止に関する過去の先行研究の論点を整理した。 5. 患者の研究参画を支える患者-研究者間コミュニケーションの国内外の状況の急激な変化を受け、内容や主体、狙い等について、がん領域を中心とする動向調査を進めた。また、国内状況を踏まえ、患者の研究参画の概念の法哲学的な検討と手法設計を進め、応用可能性が高いことが期待される患者-研究者間対話を試行して、患者の意見や視点の抽出並びに手法の適切性の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画に加え、時機を得た調査を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
1. ELSI/RRI事業に関する歴史的な経緯と評価のあり方について、日本国内との比較を行うため、国内の調査を実施する。 2. 引き続き、人工知能(AI)技術の医療応用に関わる諸問題について、日米を軸にした施策の比較を行う。 3. 今年度実施した、AI技術の医療応用に関する意識調査の分析を本格化する予定である。 4. 家族性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)を取り巻く諸問題について、当事者団体への調査を本格化し、知見をとりまとめる予定である。 5. 患者の研究参画を支える患者-研究者間コミュニケーションについて、これまでに検討した結果を踏まえて、がん領域を対象にした実践に着手する予定である。
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