計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究計画では,既存の反射モデルでは表現することが難しい微細構造を持つ物体を対象に,その複雑で多様な質感をモデル化する手法の開発を進めた.具体的には,様々な照射方向・物体表面の光照射点,観察方向のもとで対象物体を観察し,相互反射や内部散乱といった光学現象の各要素を分離して計測する技術や物体の3次元構造を理解する技術を開発し,人間の質感認知のためにどのような光学現象の正確な再現が必要であるのかについての検討を進めた.この解析に基づき,対象物体の多様な質感を効果的にモデル化する手法を研究した。
コンピュータビジョン
肉,果物,野菜といった生鮮食品や草花や石などの自然物の多くは半透明で不均一な散乱特性を持ち,物体表面の反射のみならず内部散乱に起因した光学現象が物体の質感知覚に大きな影響を与えていることが予想される.このような背景のもと,少ない計測に基づき複雑で多様な質感を効率良くモデル化できる技術の創出は,複雑な光学現象と質感の関係解明という新たな研究分野を広げ,美術品の解析,工業製品の質感向上など幅広い社会実装が期待できる。