研究実績の概要 |
実社会の質感をマイニングすることにより,質感認知メカニズムを解明するとともに,質感研究を実社会で活かす質感工学を構築する,という本研究課題遂行のため,・質感データベースの構築,質感を表すオノマトペに着目した質感認知メカニズムの解明を目指した実験を行ってきた. 質感データベースは,素材材料及び表面状態とヒトの質感感性の関係を結びつける大規模なデータを収集し,適切に管理することにより,質感を活かしたものづくりやヒトの質感感性の解明のために有用な情報を製品開発者や研究者をはじめとするユーザへ提供することを目的としたものである.2019年度中に新たに登録された素材データは262種類で,木材,金属,紙,合成樹脂,ゴムなどの素材を中心に,研磨などの表面処理を施すことで,様々な素材と質感の組み合わせのデータを収集した.昨年度までに作成したデータベースと合わせて2,300のレコードが蓄積されている. 質感オノマトペと素材についての関係性を可視化するオノマトペマッププロジェクトについては,これまで木,紙,布,髪,酒,音を取り扱う専門家へのヒアリングを行ってきたが,2019年度は新たに漆のオノマトペマップを作製した. モノと知覚と質感表現であるオノマトペの音韻との関係性から,質感認知メカニズムの解明を目指すために,この関係の文化独自性と普遍性について調査を行ってきたが,2019年度は,リンカン大学と共同で,英語話者を対象とする実験を行った.
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