計画研究
暑熱環境曝露に対する行動性体温調節反応の評価系構築を行った。気温が28℃の室温環境と40℃の暑熱環境において、25℃の床面および35℃の床面上での滞在時間を計測した。1)室温環境に比較し暑熱環境では、25℃の床面での滞在時間が増えた。2)暑熱環境曝露開始と同時に体温は上昇し、その後、25℃の床面での滞在時間が増加するにつれて体温が徐々に下降した。3)両方の床面を35℃に設定した場合、暑熱環境曝露開始とともに上昇した体温は低下せず、床面温度を選択できる場合に比べ体温はより高くなった。以上の結果より、動物が25℃の床面上に滞在することで体温調節をしている可能性が示された。前年度までの研究でc-Fosタンパク質発現を指標とした免疫組織学的解析により、暑熱・寒冷環境暴露により視床室傍核神経細胞の神経活動が上昇することを明らかにしている。しかしながら、c-Fosタンパク質発現解析では時間分解能が低く、神経細胞活性化の時間経過を詳細に解析することができない。また、暑熱環境曝露と寒冷環境曝露で同じ神経細胞が活性化するのか、あるいは、刺激により異なった神経細胞が活性化するのかについても明らかにすることができない。そこで本年度は、カルシウムイメージング法を用いて、暑熱・寒冷環境曝露時の視床室傍核神経細胞の活動を高い時間分解能で経時的に計測した。その結果、暑熱環境および寒冷環境曝露により特定の神経細胞が活性化されていることを示唆するデータを得た。恒温動物においては、34℃以上で活性化するTRPV4が脳内温度を感知して化学信号・電気信号に変換し、神経活動の同期化を促進することを見いだした。恒温動物が変温動物に比べ高度な行動が可能である神経機構の一端を担っていることが考えられる。また、病態時にTRPV4が異常活性化し、てんかん、脳浮腫、網膜剥離の病態悪化の一因となっていることも明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Laboratory Investigation
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The Journal of Neuroscience
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http://www.pharm.hokudai.ac.jp/yakuri/index.html