計画研究
1.細胞の重力および圧力応答の観察回転蛍光顕微鏡はほぼ完成し、回転中及び数十分程度の回転刺激に対する細胞形態変化のイメージングに成功した。解像度が未だ十分でないためにオルガネラの変位の観察までは至っていない。また細胞が圧力を感知する機構を明らかにするため、圧力顕微鏡システムを開発した。東北大学との共同研究により、線虫において圧負荷が転写因子Foxoの核移行を誘発することを見出した。2.細胞の重力応答における機械刺激受容チャネルの役割細胞の微小重力環境感知の入り口として、核やミトコンドリアといった比重の重い細胞内小器官に対する重力作用の消失が考えられる。これまで我々は、足場の硬さや細胞内骨格の張力に依存して活性制御を受けることが知られている転写調節因子YAPに注目し、模擬微小重力環境あるいは微小重力環境においた間葉系幹細胞におけるYAP活性が、リン酸化とは別の制御を受けて低下することを見出してきた。これに引き続き、プロテインキナーゼC (PKC)が細胞の重力感知機構に関与するかどうかを間葉系幹細胞を用いて調べた。PKCαの発現を抑制した細胞ではYAP活性が低下していたことから、間葉系幹細胞の重力感知においてYAPの上流でPKCαが働いていることが示された。3.重力変化に対する心臓循環器系の応答無重力環境において、体液の移動など心循環器系の機能変化が起こることは広く知られている。今回は、血管の機能調節に重要な役割を果たす血管内皮細胞が重力変化に対してどのような応答を示すかを調べた。宇宙ステーションで培養した細胞と、地上で模擬微小重力に曝露した細胞とで遺伝子発現量を比較したところ、これまで知られていなかったエイコサノイドトランスポーター遺伝子の発現量低下を発見した。このことから、この遺伝子はヒト血管内皮細胞の重力応答において何らかの機能を果たしている可能性が考えられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 523 ページ: 853~858
10.1016/j.bbrc.2020.01.047
https://living-in-space.jp/