計画研究
(1)「ミトコンドリア障害から筋委縮に至る機構の解析」長期宇宙滞在において、ヒト骨格筋の萎縮は克服しなければならない大きな課題である。そこでミトコンドリア障害から、筋細胞の萎縮、崩壊に至る過程の詳細を明らかにすることに取組んできた。その結果、ミトコンドリア電子伝達系Complex IIIの阻害剤Antimycin Aでは、筋細胞内のCa2+の過剰な上昇から、ECMの分解に関わるMMP、その活性化酵素FurinのCa2+による活性化、筋膜の崩壊プロセスが進行することを明らかにした。従って、これら分解に関わる酵素の抑制は、宇宙フライト時における筋細胞の萎縮、崩壊を抑えるターゲット分子になると考察された。一方、電子伝達系Complex Iの阻害剤Rotenoneでは、筋細胞内のCa2+の過剰な上昇はみられず、筋細胞の核が崩壊するいわゆる細胞死のプログラムが活性化されていた。すなわち、ミトコンドリア障害から筋細胞の崩壊プロセスには少なくとも二つの経路、ECM分解経路と細胞内Cell death経路が存在することが示された。本研究成果は、掲載誌FASEB J 8月号の表紙を飾った。(2)「静水圧の生物影響に関する研究」宇宙微小重力環境下においては、膝や股関節にかかる静水圧の負荷も失われることから、機器を用いた運動による負荷が重要になるといえる。一方で、静水圧のメカノ刺激に応答する細胞内メカノトランスダクションの機構については、ほとんど知られていなかった。そこで、本研究では、A01-1 岡山大学 成瀬グループとの共同研究で、線虫に数~数十MPaの生理的静水圧を負荷し、分子応答ならびに生物影響を個体レベルで明らかにすることに努めた。その結果、これまで知られていなかったFoxO/DAF-16転写因子の核移行を新たに見出し、その成果をBBRCに発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 19 ページ: 853-858
org/10.1016/j.bbrc.2020.01.047
The FASEB Journal
巻: 33 ページ: 9540-9550
org/10.1096/fj.201802298R