長期宇宙滞在では、無重力の影響に加え複数のクルーが宇宙船という閉鎖空間で長期間仕事や生活を共にすることで肉体的にも精神的にも多大なストレスが生じる。一方、ストレスに対する自覚症状とダメージの程度が異なるケースも多く、最終的な破綻に至る期間の個人差も大きい。従って、ダメージを客観的に評価し、可逆的な段階で対策を講じることが不可欠である。本研究では、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の閉鎖環境適応訓練設備を用いて、閉鎖ストレスによるダメージを客観的かつ定量的に評価できるストレスマーカーを探索する。 同意を得た被験者に2週間、閉鎖環境適応訓練設備内に居住してもらい、宇宙飛行想定の密なスケジュールで模擬科学実験などの負荷を加え、それら前後における変化を調べた。 (1)第1回閉鎖試験における唾液DNAメチル化率変化量について検討した。 (2)同唾液DNAメチル化率変化量と既存のストレス指標との相関を検討した。 (1)と(2)の検討内容から、優先度の高いストレスマーカー候補を探索した。
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