研究実績の概要 |
1.自発的光明滅を示す超解像イメージングプローブの開発と応用 分子内スピロ環化平衡を蛍光明滅原理として開発した自発的な光明滅を繰り返す超解像イメージングプローブHMSiRの応用展開ならびに多色化を実施した。具体的には、Yale大学と共同し、HMSiRにtetrazine基を導入したHMSiR-Tzを開発し、TCO導入オルガネラ局在性リガンドとの併用により、生細胞におけるオルガネラ膜の高密度染色・長時間超解像イメージングに成功した(Nat. Biotech. 35, 773-780 (2017))。また、HMSiRの構造展開を行い、488 nmで励起可能な新規自発的光明滅超解像イメージングプローブHEtetTFERを開発し、HMSiRとの同時二色超解像イメージングが可能であることを示した(Chem. Comm. 54, 102-105 (2018))。 2.ストレス関連光機能性分子の創製 所属する研究室でこれまでに開発したGGT(γ-glutamyltransferase)活性検出蛍光プローブgGlu-HMRGに構造修飾を施すことで、GGT活性に依存して光増感能を発揮する光増感剤を開発した。具体的には、GGTとの反応により初めて可視光領域の吸収が回復し、可視光照射により一重項酸素を産生するactivatable光増感剤gGlu-HMSeRを開発した。さらに、GGTを発現するがん選択的なPDT(光線力学療法)に有効であることを示した(Angew. Chem. Int. Ed. 56, 10418-10422 (2017))。 3.生体深部イメージング用プローブ シリルローダミンを母核として分子内スピロ環化特性を最適化することで、近赤外領域で機能するGGT活性検出蛍光プローブgGlu-HMJSiRを開発した(Bioconjugate. Chem. 29, 241-244 (2018))。
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