計画研究
2019年度は次の3課題に関して研究を行った。1)乾燥・高温ストレス応答を制御する転写因子DREB2Aの活性化機構の解明:植物の乾燥及び高温ストレスによる遺伝子発現を活性化する転写因子DREB2Aは、通常条件下では中央部にある活性抑制ドメイン(NRD)の機能により速やかに分解されるが、ストレス下では安定化し下流遺伝子の発現を誘導する。通常条件における分解がNRDのリン酸化により促進されるが、高温ストレス下ではこのリン酸化が抑制されることを示した。さらに、DREB2Aと特異的に相互作用するCK1キナーゼを同定し、DREB2Aに対するリン酸化活性を確認した。2)シロイヌナズナの低温誘導性遺伝子発現制御機構の解明:低温に晒された植物は、低温誘導性遺伝子発現を制御する転写因子遺伝子であるDREB1の発現を強く誘導することで、耐性獲得に働く遺伝子群を制御する。DREB1AとDREB1C遺伝子は概日時計の中心振動体を形成するCCA1とLHYによって制御されることを示したが、さらに概日時計に関わる複数の転写因子によっても発現制御されることを見いだした。これらの転写因子群は低温ストレスに応答した核移行やタンパク質分解などによって制御されていることを明らかにした。3)高温ストレス活性型レトロトランスポゾンONSENの転写制御因子の同定:シロイヌナズナで同定された高温ストレス活性型のレトロトランスポゾンONSENは、高温誘導型の転写因子であるHsfA2によって転写誘導される。ONSENの転写活性とエピジェネティックな修飾の関係をChIP-seq解析を用いて時系列で調べた結果、HsfA2やDREB2AやHSP90.1上のヒストンH3K4me1は高温ストレス後に一時的に低下した。これらの高温ストレス応答性の遺伝子の転写レベルとH3K4me1の修飾レベルは逆相関の関係にあると考えられた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Nature Communications
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