計画研究
1)遺伝子内クロマチン修飾による環境応答制御これまで、ヒストン脱メチル化酵素LDL2によるH3K4me1除去による遺伝子抑制経路を示していた(Inagaki et al 2017 EMBO J)。本年度は、低温応答におけるH3K4me1制御の重要性を示す結果を得た(Inagaki et al bioRxiv)。LDL2とともにヒストン脱メチル化酵素をコードする遺伝子FLDは春化応答を仲介する遺伝子FLCの抑制に必要である。ChIP-seq解析の結果、FLDはFLCの遺伝子内部、また多くの他の遺伝子の転写集結点(TTS)付近のH3K4me1を除く効果のあることがわかった。FLDが効果を持つ遺伝子は下流に逆向きの遺伝子を持つ。FLDは、このような特徴を持つ遺伝子のH3K4me1を除くことで転写伸長を抑えるとともに、転写開始を抑制する。この経路が他のエピジェネティックな環境応答系でも働くか興味深い。2)ヒストンH2Aバリアントによる抑制修飾動態の制御遺伝子内ヒストンバリアントH2A.Zを持つ遺伝子は、環境シグナルや個体発生に伴う転写の変化を起こしやすい。抑制修飾に必要な因子の変異体にそれらの遺伝子を戻し、抑制修飾の回復様式を調べた結果、多くのトランスポゾンの遺伝子内部は、RNAiとは独立の機構で抑制目印が回復することがわかった(To et al 未発表結果)。ただし、一群のトランスポゾンはH2A.Zを獲得し、抑制目印を回復する機能を失っている。環境に応答する因子であるH2A.Zが、より安定な抑制修飾に影響する経路の存在は興味深い。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件)
Communications Biology
巻: 2 ページ: 404
10.1038/s42003-019-0646-5
Genes (Basel)
巻: 10 ページ: -
10.3390/genes10070544