計画研究
染色体が調和して機能する仕組みを染色体オーケストレーションシステム(染色体OS) と呼び、精子、卵子などの配偶子形成に必須な減数分裂では染色体OSがより劇的に変化する。減数分裂期には染色体3D構造が大きく変化するだけでなく、染色体を場として組換えなどの様々なDNA代謝反応が“制御された形”で起き、その制御プラットフォームが染色体OSであると考えられる。本計画研究は減数分裂期染色体を染色体OSのモデル系として捉え、減数分裂期染色体構造、特にその基盤となる染色体軸―ループ構造と機能を理解し、減数分裂期特異的染色体上で起きる減数分裂期組換えの制御の分子メニズムを明らかにすることを目的とする。2019年度では、染色体構造とその上で起こる組換えの連携の分子メカニズムを解明することを目標とし、超解像度蛍光顕微鏡とクロマチン免疫沈降-DNA sequencing (ChIP-seq)法で、減数分裂期の染色体構造、特に高次構造(軸―ループ構造)を、減数分裂期染色体の軸構成要素であるコヒーシンの局在を解析した。その結果、減数第一、第二分裂期に起こるセパレースによる切断に依存しない仕組みで、コヒーシン複合体が染色体から減数分裂第1分裂後期で解離すること、その解離には特異的なリン酸化酵素Polo-likeキナーゼ(PLK)とDbf4依存性Cdc7キナーゼ(DDK)のキナーゼの協調的は働きにより、コヒーシン制御因子の1つWAPL(Rad61)とRec8がリン酸化されることが必要であることを見出した。また、ChIP-seq法による局在を解析したところ、その解離は動原体を含め、染色体全体に起き、コヒーシンは解離後に再結合できること、つまり動的な結合制御を受けることも明らかになった。減数分裂期の染色体構造形成は必須構成因子のコヒーシンの結合を動的に制御することで、機能的な高次構造を作ると考えられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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