研究実績の概要 |
昨年度に続き、染色体OSプラットフォームの維持・改良に努めた。具体的には複数解析結果比較機能を充実させ、複数結果間の定量比較を可能にし、構造の差異を自動的に抽出する機能の搭載を実施した。情報解析においては班員との共同研究をさらに進め、4C, Hi-C, ChIP-seqデータなどの情報解析を進めた。具体的には、大阪大学深川グループと、4Cを用いたDT40セントロメア破壊株におけるZ染色体高次構造変化の解析を進めるとともにまた、医薬基盤研究所今井グループと、インフルエンザ感染マウスにおける染色体高次構造変化の解析をHi-C法を用いて進めた。 一方で、基盤となるゲノム配列決定アルゴリズムの開発も進め、Illumina, PacBio, 10X Genomicsといった複数プラットフォーム由来のシークエンスデータを扱えるアセンブラの開発を実施し、ニワトリ由来DT40細胞ゲノムの構築を行った。このプログラムを用いて新規に決定したDT40ゲノムを用いてDT40細胞由来のChIP-seq, Hi-Cデータの再解析を実施することにより、従来までは最近縁である赤色野鶏ゲノムを用いて解析をしていた結果とは異ったタンパク質の局在を示唆するデータなどが得られている。 また、STAG2変異とRUNX1変異の協調による癌化の分子メカニズムの解析も進め、ChIP-seqにより、Stag1およびStag2のゲノムへの結合領域は、エンハンサー領域、CTCF結合部位と共通する領域の2つにクラスタリングされ、前者においてSTAG2とRUNX1の結合部位が一致すること等を明らかにした。次に、ダブルノックアウト(DKO)マウスの解析を通じて、DKOマウスはHSPC分画の増加をもたらし、大部分が致死性のMDSを発症することを明らかにした。
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