研究概要 |
1.O.mashikoi巨大ヘモグロビンの全グロビン鎖のアミノ酸配列の決定。 これまでの研究により4種類のグロビン鎖の内、3種類のサブユニットの遺伝子塩基配列を決定したので、残りのグロビン鎖のアミノ酸配列をc-DNAの塩基配列から推定した。具体的には、先ず、SDS電気泳動により、アミノ酸配列未知のグロビン鎖を精製し、そのN末端アミノ酸配列(約20残基)を決定した。得られたアミノ酸配列からPCR用のプライマーを設計し、そのcDNAを鋳型としてRT-PCRを行い、目的のグロビン鎖の塩基配列を決定した。その結果、アミノ酸配列は、MTILVLFLSCAALASAECCSRGDAEVVISEWDQVFNAAMAGSSESAVGVAIFDAFFASSGVSPSMFPGGGDSNNPEFLAQVSRVVSGADIAINSLTNRATCDSLLSHLNAQHRAISGVTGAAVTHLSQAISSVVAQVLPSAHIDAWEYCMAYIAAGIGAGLであると推定され、殆どのグロビン鎖で保存されている遠位Hisがグルタミンに置換していた。 2.O.mashikoi巨大ヘモグロビンのX線結晶構造解析。 放射光施設でのX線回折実験の結果、最大で2.7Å分解能の回折点が得られた(京都大学三木邦夫教授との共同研究)。そこで、Hg等による重原子同型置換体の作成条件を検討し、ナノサイズの超分子複合体の原子レベルの構造解析をおこなった。その結果,2.85Å分解能の立体構造を明らかにすることができた。O.mashikoi巨大ヘモグロビンは、4種類のグロビン鎖から構成されるユニットを単位とし、それが6量体を形成していた。また、各グロビン鎖は分子内ジスルフィド結合を有し、さらに、隣接するユニットのグロビン鎖間の分子間ジスルフィド結合により超分子構造が保持されていることが明らかとなった。
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