研究概要 |
1.O. mashikoi 巨大ヘモグロビンの酸素親和性と硫化物結合量の定量分析 O. mashikoi 巨大ヘモグロビン精製標品と血液を用いて、酸素親和性P_<50>とヒル係数を決定した。その結果、精製標品ではP_<50>=0.82Torr, n=1.2、血液ではP_<50>=0.9 Torr, n=1.1であった。これらの実験結果から、O. mashikoi 巨大ヘモグロビンはヒトヘモグロビンより高い酸素親和性をもつが、殆ど酸素に対する協同性を持たないミオグロビンタイプの酸素運搬体であることが強く示唆された。 O. mashikoi 巨大ヘモグロビンに結合する硫化物量を分光学的方法により定量分析した。その結果、ヘモグロビン1分子に約20分子の硫化物が結合することが明らかとなった。 2.O. mashikoi 巨大ヘモグロビンの結晶化 O. mashikoi 巨大ヘモグロビン精製標品を用いて、結晶化条件を検討した。その結果、Spring-8放射光施設でのX線回折実験の結果、最大で2.7Å分解能の回折点が得られる結晶を得ることに成功した。 3.O. mashikoi 巨大ヘモグロビンのX線結晶構造解析 放射光施設でのX線回折実験の結果、最大で2.7Å分解能の回折点が得られた。そこで、Hg等による重原子同型置換体の作成条件を検討し、ナノサイズの超分子複合体の原子レベルの構造解析をおこなった。その結果,2.85Å分解能の立体構造を明らかにすることができた。O. mashikoi 巨大ヘモグロビンは、4種類のグロビン鎖から構成されるユニットを単位とし、それが6量体を形成していた。また、各グロビン鎖は分子内ジスルフィド結合を有し、さらに、隣接するユニットのグロビン鎖間の分子間ジスルフィド結合により超分子構造が保持されていることが明らかとなった。
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