研究概要 |
1. O. mashikoi巨大ヘモグロビンの立体構造の分解能を向上させるために、結晶化条件を詳細に再検討したところ、200mM MES-NaOH (pH6.0), 24% PEG10, 000, 20%glycerol で得られた結晶は1.95Åの分解能を示すことを確認し、精密な巨大ヘモグロビン立体構造を明らかにすることができた。 2. O. mashikoi巨大ヘモグロビンがヒトヘモグロビンとは異なり血管中の血漿に直接溶解していることを考慮し、血液の構成成分、特に金属イオンの定量分析を行い、それらの酸素協同性と酸素親和性に及ぼす影響を今井式酸素平衡曲線自動記録装置を用いて検討した。その結果、血漿中には、Ca^<2+>とMg^<2+>が約40-60mMと高濃度存在し、両金属イオンは、巨大ヘモグロビンのR型四次構造を安定化することによって、酸素親和性と酸素協同性を上昇させる(50mM CaCl_2: P_<50>=0.25, n=2.3 50mM MgCl_2: P_<50>=0.52, n=2.4)ことを見出し、その研究成果を論文として公表した。 3. 上記2の実験結果より、O. mashikoi巨大ヘモグロビンにはCa^<2+>やMg^<2+>が結合する可能性が示唆された。そこで、Mg^<2+>およびCa^<2+>結合型の結晶を調製し、その立体構造の解明を試みたところ、それぞれ1.7Å,1.6Å分解能で丸ごと立体構造を世界で初めて決定することができた。
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