研究領域 | 脳・生活・人生の統合的理解にもとづく思春期からの主体価値発展学 |
研究課題/領域番号 |
16H06398
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
西田 淳志 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, プロジェクトリーダー (20510598)
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研究分担者 |
山崎 修道 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (10447401)
川上 憲人 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90177650)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | ライフコース疫学 / コホート / 主体価値 / 思春期 / 社会的決定要因 |
研究実績の概要 |
C01班(人生班)は、国内外の大規模コホートを駆使し、生涯発達史を縦断的にとらえるライフコースアプローチによって、本領域のキーコンセプトである主体価値の形成に思春期が重要であるという仮説を検証する。平成29年度は以下の研究成果をあげている。1). 西田らは,競合する主体価値の相対的順位を測定することを可能とする一対比較法による主体価値の測定法開発を行った。領域間(A01:田中,B01:村井,D01笠井)で協議し,発達過程にある未成年・児童においても測定可能な主体価値項目を抽出し,一対比較法による主体価値測定iPadアプリを開発した。主体価値項目の妥当性はA01班小池と連携して検証し,15歳から57歳の167名を対象にした調査によりその妥当性を確認した。この主体価値測定アプリを大規模思春期コホート(TTC: Tokyo Teen Cohort)に協力する親子215組に実施し,親子間における価値の順位付けの類似性を確認し,親から子へ価値が継承されることを見出した。2).山崎らは,英国コホート拠点との国際連携研究の基盤を活かし,1946全英出生コホート(N=5,362)データを用いてライフコースデータ解析を継続するとともにTTCデータを活用したMRCとの共同研究(母親の主体価値と生活行動についての研究)を開始した。3). 川上らは、米国の労働者516名を対象としたインターネット調査を実施した。日米とも,15~16歳時に主体価値を持ちそれにコミットすることは,成人期の心理的ストレス反応の低さ,健康関連QOLの高さ,生活満足度の高さ,幸福感の高さと関連していた.価値の領域と健康アウトカムとの関連には,日米で差があり,比較文化的な理論から説明可能だった。価値へのコミットメントは日米とも成人期の健康・幸福に好ましい影響を与える可能性があるが,価値の領域の影響には文化差がある可能性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
思春期コホート14歳調査のプレテストの結果、一部の調査方法を修正する必要性が生じたため、その対策を講じ、再度プレテストを施行したうえで14歳調査を開始した。これにより当初計画よりも3ヶ月の遅れが生じたが、土日の訪問調査量を増やすなどの工夫によって当初計画にほぼ戻りつつある。
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今後の研究の推進方策 |
思春期コホートのベースライン調査(初回調査)を完了させ、すみやかに追跡調査を開始し、縦断データ解析によって思春期主体価値形成過程の解明を進める。初回の思春期コホート調査の開始が、新たな主体価値測定法の開発に予定よりも時間を要したために遅れたが、開始後は順調に調査が進んでいる。追跡調査に関する準備も順調に進んでおり、次年度の実施に向けた体制も整っている。これにより、当初発生した研究の遅れを解消できる。
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