研究領域 | 「意志動力学(ウィルダイナミクス)の創成と推進」に関する総合的研究 |
研究課題/領域番号 |
16H06402
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
尾内 康臣 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40436978)
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研究分担者 |
植木 美乃 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40467478)
大石 直也 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定講師 (40526878)
杉原 玄一 京都大学, 医学研究科, 助教 (70402261)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | モチベーション |
研究実績の概要 |
①モチベーションに関連したPET・MRIイメージングに関して、モチベーションに関連する神経伝達物質であるセロトニン神経系について、セロトニントランスポーターPETリガンドを用いて健常人と神経疾患患者で病態研究を行った。MRIによるVBMの所見とPET所見の一致性も検討した。さらにtDCS(経頭蓋直流電流刺激法)を用いて脳局所を刺激することで、行動学的な意欲や成績について検討した。課題fMRIを用いて、摂食障害における報酬・損失に対する脳活動を評価した。また、安静時fMRIを用いて、レム睡眠期行動異常症における運動感覚ネットワークの変容、および意欲と辺縁系ループの関連性について検討した。 ②脳MRIコネクトーム解析技術の開発に関して、機能的MRIコネクトーム解析の精度向上のため、独立成分分析に基づいた心拍・呼吸・体動などのノイズ除去システムを構築した。さらに、構造的MRIコネクトームにおけるトラクトグラフィー精度向上のため、従来の拡散テンソル法に加えて拘束付球面デコンボリューション法に基づくコネクトーム解析システムを構築した。 ③画像データを用いた機械学習技術の開発に関して、自己組織化マップにk-means法を組み合わせた新規手法と構造MRIを用いて統合失調症の層別化手法を開発した。昨年度開発した、深層学習を脳イメージングに応用するための基盤となるプログラム開発を元に、画像データの信号雑音比を向上するアルゴリズム開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①セロトニントランスポーターに結合する11C-DASB-PETおよびMRI-VBMを用いて健常人20人、摂食障害患者20人の計測を終了し、論文投稿前の状態である。一方、tDCSの脳刺激結果に関しては、身体の体部表象に関わる脳領域を刺激するとパフォーマンスが改善することも証明でき、おおむね当初の計画通りに進展している。 ②機能的MRIコネクトーム、構造的MRIコネクトームいずれにおいても、精度を向上するための手法を構築することに成功し、さらなるコネクトーム解析精度向上が期待されるなど、当初の計画通りに進展している。 ③既存のシステムをもとに統合失調症の効果的な層別化手法を開発し、論文発表した。さらに、開発した深層学習を脳イメージングに応用する基盤プログラムをもとに画像データの信号雑音比を向上するアルゴリズム開発に成功するなど、当初の計画通りに進展している。 上記を鑑み、計画はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、本研究はおおむね順調に進展しているため、平成30年度も基本的には当初の研究計画に基づいて推進していく。すなわち、①モチベーションに関連したPET・MRIイメージングに関して、H29年度の疾患(摂食障害と統合失調症)データの収集を継続すると同時に、内発的動機づけに着目したPET・MRI研究を行い、モチベーションやその障害に関連する神経基盤の解明を継続する。②脳MRIコネクトーム解析技術の開発に関して、現在取得中の課題・安静時fMRIやDTIに対して現在の解析システムを適応し、必要に応じて更なる改良を行っていく。③画像データを用いた機械学習技術の開発に関して、既存のシステムを他の疾患に応用していくとともに、深層学習を用いた新規手法を画像データに適応し、必要に応じてアルゴリズム改良等を行う。
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