研究実績の概要 |
本研究は、動物から人への橋渡し研究を通じ、意欲や認知や持久力など身心のパフォーマンスを高める運動条件を解明し、実装可能な運動プログラムの開発を目指す。当初5年計画であった本研究プロジェクトは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で進捗が遅れたため計画を延長し、令和2~3年度の2ヵ年に渡ってプロジェクト1~3を実施した。 プロジェクト1では、高強度インターバル運動 (HIIT) トレーニング (4週間) が海馬におけるBDNF発現や神経新生を増加させ、空間記憶能力を向上させることを明らかとした (Okamoto et al., Cereb. Cortex, 2021)。 プロジェクト2では、有酸素能が高い若齢男性ほど実行機能課題成績がよく、その関係にはドーパミン作動性神経系の指標となり得る自発性瞬目率が媒介していることが明らかとなった (Kuwamizu et al, Med. Sci. Sports Exerc., 2021)。また、一過性の中強度のランニングは快適気分と実行機能を共に高めること、その神経基盤には両半球の外側前頭前野の活性化があることが明らかとなった (Damrongthai et al., Sci. Rep., 2021)。 プロジェクト3では、統合失調症モデルマウスで低下した認知と意欲の改善には、発育期における低強度運動が最適であることを確認した。その背景には、DAの作用を介した前頭前野のシグナル伝達の正常化が関与することを明らかとした (Koizumi et al., BBRC, 2020)
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