研究領域 | 特異構造の結晶科学:完全性と不完全性の協奏で拓く新機能エレクトロニクス |
研究課題/領域番号 |
16H06419
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
小出 康夫 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 部門長/理事 (70195650)
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研究分担者 |
井村 将隆 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (80465971)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / ナノラミネート構造 / III族窒化物 / ヘテロ接合 / トランジスタ |
研究実績の概要 |
本研究では窒化物半導体のナノラミネート薄膜特異構造(膜厚1nm 以下に制御した極薄膜2次元多層膜特異構造)を作製しダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET)のゲート絶縁膜に応用し大電流のスイッチング動作を実現することを目指す。具体的には絶縁体AlN(i-AlN)と導電体GaN(c-GaN)を用いたi-AlN/c-GaN ナノラミネート特異構造を形成し、その微細構造及び電気的特性を評価するとともにダイヤモンドFETのゲート絶縁膜に応用する。平成28年度は申請設備であったガスソース原子層堆積装置を購入するとともに立ち上げることが第一目標であり導入することができた。研究成果は以下の通りである。 (1)グループとしてこれまでに進めてきたスパッタリング法および原子層堆積法によるAlN/Al2O3積層膜をゲート構造に用いたキャパシタおよびFETを開発し、酸化膜ゲートMOSFETに較べて同等なドレイン電流を得られることを実証した。Arおよび窒素を含む化成スパッタリング法によるAlN堆積条件の最適化が鍵となった。 (2)有機金属化合物成長(MOVPE)法を用いて水素終端ダイヤモンド表面上にAlNをエピタキシャル成長させ、単一ドメイン単結晶AlN薄膜を直接成長させることに成功した。 (3)およびAl2O3/HfO2ナノラミネート薄膜をゲート絶縁膜としたダイヤモンドFETを試作したが、ゲート酸化膜のキャパシタンスの向上は得られかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画した提案する特異構造を作製する装置を予定通り購入し設置することができ次年度以降への実験に進むことができる。更に窒化物半導体とダイヤモンドのハイブリッド電子デバイスの試作を進め性能向上を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に購入した成長装置を利用して計画したIII族窒化物ナノラミネート薄膜をまず作製し、成長条件を確立させる。同時に既存設備である原子層堆積装置を用いてAl2O3/TiO2ナノラミネート構造を作製しスーパキャパシタ特性を確認するとともにダイヤモンドに適用する。酸化物ナノラミネート作製は国際共同研究によって作製することも試みる予定である。
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