計画研究
本研究では窒化物半導体のナノラミネート薄膜特異構造(膜厚1nm以下に制御した極薄膜2次元多層膜特異構造)を作製しダイヤモンド電界効果トランジスタ(FET)のゲート絶縁膜に応用し大電流のスイッチング動作を実現することを目指す。具体的には絶縁体AlN(i-AlN)と導電体GaN(c-GaN)を用いたi-AlN/c-GaN ナノラミネート特異構造を形成し、その微細構造及び電気的特性を評価するとともにダイヤモンドFETのゲート絶縁膜に応用する。H29年度成果は以下の通りである。(1)O. Auciello教授(米国テキサス大ダラス校)との共同研究を劉研究分担者が2018/9/12~10/11まで1ヵ月滞在にすることによって進め、テキサス大でのALD装置を用いてAl2O3/TiO2ナノラミネート構造ゲートを作製し、比誘電率150を達成した。同時にNIMSプロセスとテキサス大プロセスを融合させたMOSFETを作製しトランジスタ動作を実証した。その後ナノラミネート構造の最適構造をNIMS-ALDプロセスに適用し、全NIMSプロセスによってMOSFETを作製しチャネル電流が大きな高性能化に成功した。(2)昨年度立ち上げたその場膜厚モニターを装備させたALD-MOVPE成長装置を用いて、TMAlとNH3を用いたAlN、TMGaとNH3を用いたGaNのALDモードMOVPE成長を確認し、AlN/GaNナノラミネート構造を作製するための成長条件を確立した。
2: おおむね順調に進展している
初年度購入したIII族窒化物AlNおよびGaNを成長させるALD-MOVPE装置は、その場膜厚モニター用エリプソメータを装備する形で立ち上げを完了し、AlNおよびGaNのALDモードMOVPE成長に成功しており、AlN/GaNナノラミネート構造の試作が可能となった。昨年度米国テキサス大ダラス校のOrland Auchiello教授グループに研究分担者である劉独立研究者が一か月間滞在することによって、ALD装置を用いてTiO2/Al2O3ナノラミネート膜ゲート構造を作製し、NIMSに帰ってからMOSトランジスタを完成させるプロセス共同研究を実施した。酸化物ナノラミネート構造条件の最適化と誘電率の増大化を確認するとともに、酸化物ナノラミネートゲート構造によるMOSFETの動作実証にも成功した。
1周期1nm以下とする酸化物ナノラミートゲート構造条件を利用して、AlN/GaNナノラミネート構造作製に適用することによって誘電率増大効果を確認する。その場エリプメータモニターによる1分子層成長制御は確立していることから、ナノラミネート構造の層厚制御に展開する。ラミネート構造の誘電率測定と微細構造解析を進める。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
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