計画研究
本研究課題では,InリッチInGaNおよびAlリッチAlGaNの近接場分光(SNOM)マッピングを中心とした評価手法によって,これら半導体の特異構造を詳細に評価してきた.最終年度である本年度の成果は以下の通りである.(1)基板のオフ角分布によるInGaN量子井戸の多波長化の実現と機構解明:申請者らはC面GaN基板のオフ角を基板面内で分布させることで,紫から青色領域で25nmの範囲で発光波長を面内分布させることに成功した.この成果は,ブロードバンドタイプのスーパールミネッセントダイオード実現に繋がるものである.(2)半極性面AlN基板上でのAlGaN系半導体の歪み緩和機構解明:半極性r面AlN基板上に作製したAlGaN薄膜の歪緩和度は,極性面上の試料よりも大きく特異な歪み緩和機構が観測された.そこで,歪緩和モデルを構築し統一的な理解を得た.(3)深紫外SNOM分光技術の深化:AlリッチAlGaN系量子井戸の顕微分光を回折限界以上の高分解能で行うには,この波長域で分光可能な近接場光学顕微鏡(SNOM)の開発が必要となる.申請者のグループは,超安定リングキャビティーチタンサファイアレーザと非線形光学技術によって波長210nmの深紫外CWレーザ装置を構築するとともに,深紫外オプティクスの構築によって,室温において約100nmの分解能でAlGaN量子井戸の深紫外分光マッピングに成功している.昨年度は,クライオスタットを導入したが,振動レベルの低減が課題となっていた.今年度は,新たな除振手法を構築し,極低温域から室温までの温度可変にて分光可能な深紫外SNOM技術を構築した.(4)AlリッチAlGaN系特異構造の発光ダイナミクス評価:微傾斜AlN基板上のステップバンチングに形成される細線状Gaリッチ局在中心における輻射・非輻射過程を深紫外SNOM装置を用いて精査し,高効率化への指針を得た.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件)
PHYSICAL REVIEW B
巻: 102 ページ: 155202/1-5
10.1103/PhysRevB.102.155202
APPLIED PHYSICS EXPRESS
巻: 13 ページ: 102005/1-5
10.35848/1882-0786/abb86f
APPLIED PHYSICS LETTERS
巻: 117 ページ: 062101/1-4
10.1063/5.0017703
OPTICS EXPRESS
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10.1364/OE.394580