計画研究
混晶における組成揺らぎや低次元構造における量子サイズ揺らぎなど、構造的不完全性に起因した結晶特異構造に着目し、励起子の輻射・非輻射再結合ダイナミクスと光ポンピングによる深紫外誘導放出の測定を行った。UV-A帯に基礎吸収端を有するAlGaN量子井戸構造を対象として、測定温度と励起パワー密度をパラメータとしたフォトルミネッセンス測定により内部量子効率を定量的に導出した。励起パワー密度の上昇に伴い、弱励起側で見られる内部量子効率の増大は、非輻射再結合中心の飽和を反映した現象であると考え、励起子レート方程式を用いたフィッティング解析により、励起子の輻射再結合レートに対する非輻射再結合中心への捕獲レートの比を導出した。一方、時間分解発光分光法により非輻射再結合寿命の温度依存性を解析することからも上述したレートの比を導出し、異なる2種類の測定により得られた物理量が定量的に一致することを明らかにした。この一致により、励起子レート方程式を用いた内部量子効率曲線のフィッティング解析の妥当性を示した。UV-C帯に基礎吸収端を有するAlGaN量子井戸構造を対象として、光ポンピングによる深紫外誘導放出の測定を行った。光閉じ込め係数の増大を図り、光閉じ込め層の膜厚と量子井戸位置を最適化した試料に関しては、低温10Kから室温295K、さらには室温から550Kまで誘導放出光の観測に成功した。誘導放出に対するしきい励起キャリア密度は、室温から450Kまでは2.2×1018から4.0×1018cm-3まで緩やかに増加し、500Kでは8.0×1018cm-3に急激に増大した。この急激な増大は、450Kと500Kの間で誘導放出機構が変化したことを示していると考えられる。励起子モット転移密度を計算すると3×1018cm-3となることから、低温から450Kまでは励起子が誘導放出機構に関与していると考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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ACS Applied Electronic Materials
巻: 2 ページ: 1892~1907
10.1021/acsaelm.0c00172
Journal of Applied Physics
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Applied Physics Letters
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