計画研究
インフルエンザウイルスは、自然宿主であるカモなどの野生の水禽においては腸管内で増殖し、病気を発症することはない。長年にわたるインフルエンザウイルスと水禽の共生関係を考えると、本ウイルスが自然界において知られざる役割を有することは自明である。そこで本研究では、インフルエンザウイルスと水禽との共生が、水禽の腸内環境に与える影響を調べるため、腸内微生物叢のメタゲノム解析を行う。また、本ウイルスとの共生が、水禽の免疫系や生命活動に及ぼす影響を明らかにする。さらに、カモなどの水禽類のゲノムにおけるインフルエンザウイルス由来の遺伝子配列の網羅的検索を行う。インフルエンザウイルスとの共生が、水禽の腸内環境に与える影響を調べるため、腸内微生物叢のメタゲノム解析を行う。これまでに、共同研究先である米国ウイスコンシン大学において、マガモを用いた感染実験を行った。鳥インフルエンザウイルスA/Mallard/New York/6750/78 (H2N2)株を感染させたグループ、および非感染グループから、糞便サンプルと直腸スワブを経時的に採取し、腸内微生物叢解析を行なっている。不顕性感染のメカニズム解析を行うにあたり、不顕性感染モデルであるマガモを用いて、感染実験を行なった。鳥インフルエンザウイルスA/Mallard/New York/6750/78(H2N2)株を感染させた動物から経時的に呼吸器や腸管などの各種臓器を採取した。各臓器におけるウイルス増殖性を調べたところ、結腸で最もウイルスタイターが高かった。感染カモにおける宿主応答を調べるため、結腸から抽出したRNAを用いて、RNAseqを行い、現在はデータ解析を進めている。またアフリカ・シエラレオネ共和国において、コウモリから臓器サンプルを採取し、核酸抽出を行なった。今後、次世代シークエンス解析を行い、バイローム解析を試みる予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、インフルエンザウイルスと水禽との共生が、水禽の腸内環境に与える影響を調べるため、腸内微生物叢のメタゲノム解析を行う。また、本ウイルスとの共生が、水禽の免疫系や生命活動に及ぼす影響を明らかにする。さらに、カモなどの水禽類のゲノムにおけるインフルエンザウイルス由来の遺伝子配列の網羅的検索を行う。カモを用いた感染実験を行ない、非感染群と感染群から採取した糞便サンプルを用いて腸内細菌叢解析を行なっている。また不顕性感染のメカニズム解析を行うにあたり、不顕性感染モデルであるカモを用いて、感染個体の腸における宿主応答解析を行なっている。さらに野生動物のバイローム解析用に、アフリカ・シエラレオネのコウモリから臓器サンプルを採取した。今後、次世代シークエンス解析によって、新規ウイルスの探索を試みる。以上の結果が得られたことから、本研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。
今後も引き続き、感染実験したカモから採取した糞便サンプルを用いて、腸内微生物叢のメタゲノム解析を行う。インフルエンザウイルスを保有している個体と保有していない個体における腸内微生物叢の違いを調べる。また、それぞれの個体における、免疫系や代謝系などの生体機能の違いを調べるために、感染後の免疫応答などの宿主応答解析(トランスクリプトーム解析)や生体中の内因性代謝物を調べるメタボローム解析を行う。さらに国内外において、引き続き水禽や野生動物からのサンプリングを続け、新規ウイルスを探索するためのバイローム解析を行う。また不顕性感染のメカニズムを解析するため、鳥インフルエンザウイルスを、不顕性感染モデルと顕性感染モデルに感染させ、比較解析を行う。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (32件) (うち国際共著 7件、 査読あり 27件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 17件、 招待講演 19件)
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