本研究課題では、ポリケタイド系天然物の生合成マシナリーをリデザインして潜在的生物活性ポリケタイドを創製することを目的とする。 昨年度の検討(ドメイン交換実験、インフォマティクス解析)から、PKS-NRPSでのドメイン交換では適切なテンプレートの選択が重要であることがわかった。同様のインフォマティクス解析をHR-PKS(PKS-NRPSのPKS部に相当)で行ったところ、ポリオール型PK鎖を与えるグループがドメイン交換実験などにも応用可能なグループであることが示唆された。そこで、このグループに分類される3種のPKSを解析したところ、所期のPK鎖の異種生産に成功した。また、骨格構築に必須なトランス-ERの除去、交換を行った場合、期待される生成物が生産されることもわかった。以上の実験から、インフォマティクス解析による適切なPKSの選択・機能解析がPKSの機能制御において有効であることがわかった。この成果は、投稿準備中である。また、本研究課題で確立したゲノム編集技術を利用した遺伝子導入法は、他起源由来の生合成酵素(チトクロームP450、転移酵素、環化酵素など)の機能解析を迅速に行う上でも効果的であった。
|