計画研究
昨年度までに全長80 kbpを越す生合成遺伝子群によって生成される抗菌マクロライド(tylosin, spiramycin, leucomycin及びpikromycin)の異種発現を達成することができた。それぞれの生合成遺伝子群には生合成遺伝子の発現を制御する遺伝子が配置しており(tylR, lcmRI, srmSあるいはpikD)これらの制御遺伝子の発現が生合成の律速となっている。一般に生合成遺伝子群に配置している制御遺伝子は他の2次代謝産物の生合成遺伝子群の遺伝子発現を制御することは知られていない。実際にこれまで構造が非常に類似な化合物の生合成遺伝子であっても遺伝子発現を調節することは無かった。我々は本課題研究ではないが2種の生合成遺伝子群を組み合わせたハイブリッド化合物の創製の過程で興味ある現象を確認した。S. avermitilisでのtylosin生合成遺伝子群の発現はspiramycin生合成遺伝子群に配置しているsrmSを導入することによってに増強された。そこでそれぞれの生産菌及び上記マクロライド生合成遺伝子群を含むS. avermitilis SUKA株でそれぞれの制御遺伝子の発現による効果を検討した結果、生産菌と異種発現株で同様な結果を得た。tylosin生産はsrmSで増強され、spiramycin生産はlcmRIで若干の増強が、leucomycin生産はsrmSあるいはtylRでは増強されなかった。さらにspiramycin生合成遺伝子群の異種発現におけるtylRの効果を詳細に調べたところ、spiramycinの生産はほとんど変化させなかったが、新たにspiramycinよりも質量数が3つ多い成分を見出した。これらの成分を単離精製したところ、spiramycinの構造のforosamineがmycaroseに置き換わった成分であることが判った。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
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http://avermitilis.ls.kitasato-u.ac.jp