海綿動物Discodermia calyxより単離構造決定されたcalyculin Aは、各種がん細胞に対して強力な細胞毒性を示す主要代謝産物である。そのためcalyculin Aを高濃度で含む海綿動物がその毒性に侵されない理由は長年不明であった。本研究成ではcalyculin A生合成における毒性回避機構を明らかにした。低毒性なphosphocalyculin Aを前駆体として生合成すると同時に、活性化酵素であるCalLをペリプラズム領域に発現し、両者の区画化を実現するともに、組織傷害を引き金とした活性化を可能にしている。本研究成果は毒性物質の異種生産系の確立において重要な知見を与える。
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