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2019 年度 実績報告書

神経突起コンパートメント化によるスクラップ&ビルド

計画研究

研究領域スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御
研究課題/領域番号 16H06456
研究機関東京大学

研究代表者

榎本 和生  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80300953)

研究分担者 小澤 岳昌  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40302806)
今井 猛  九州大学, 医学研究院, 教授 (70509851)
研究期間 (年度) 2016-06-30 – 2021-03-31
キーワードショウジョウバエ / 変態期 / 回路リモデリング / シナプス / 樹状突起 / 感覚ニューロン
研究実績の概要

本研究では、変態期におけるショウジョウバエ感覚ニューロンの回路リモデリングを解析モデルとして、シナプス、軸索、樹状突起など神経コンパートメントを、ニューロンが選択的に除去・再生する分子細胞メカニズムを明らかにすることが目的である。本年度は、樹状突起の選択的な除去メカニズムについて取り組み、独自の生体イメージング手法と分子遺伝学的手法を組み合わすことにより、ミトコンドリアが重要な役割を果たしている可能性を見出した。一方で、感覚ニューロンの軸索末端に位置するプレシナプスが、変態期の初期24時間に除去されることを新たに発見した。さらに、分子遺伝学的な網羅的スクリーニングを実施し、複数の候補因子を単離した。これらの候補因子の解析から、軸索末端の局所においてタンパク質分解システムが作動することが、シナプスの選択的な除去の制御に関わる可能性を見出した。これらの研究成果から、単一ニューロンの神経コンパートメント(シナプス、軸索、樹状突起)を選択的に除去するための分子メカニズムを解析するシステムを確立することに成功し、さらに、分子的基盤についても理解が進めつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、変態期におけるショウジョウバエ感覚ニューロンの回路リモデリングを解析モデルとして、シナプス、軸索、樹状突起など神経コンパートメントを、ニューロンが選択的に除去・再生する分子細胞メカニズムを明らかにすることが目的である。本年度は、樹状突起の選択的な除去メカニズムについて取り組み、独自の生体イメージング手法と分子遺伝学的手法を組み合わすことにより、ミトコンドリアが重要な役割を果たしている可能性を見出した。一方で、感覚ニューロンの軸索末端に位置するプレシナプスが、変態期の初期24時間に除去されることを新たに発見した。さらに、分子遺伝学的な網羅的スクリーニングを実施し、複数の候補因子を単離した。これらの候補因子の解析から、軸索末端の局所においてタンパク質分解システムが作動することが、シナプスの選択的な除去の制御に関わる可能性を見出した。これらの研究成果から、単一ニューロンの神経コンパートメント(シナプス、軸索、樹状突起)を選択的に除去するための分子メカニズムを解析するシステムを確立することに成功し、さらに、分子的基盤についても理解が進めつつある。

今後の研究の推進方策

今後は、コンパートメント化とそれに伴う除去を担う分子基盤について、更なる理解を進める必要がある。今年度の遺伝子スクリーニングにより、シナプスの選択的除去に関係する多くの候補因子を同定している。これら因子群の個々の機能について丁寧に調べることに並行して、分子ネットワークとダイナミクスに着目した俯瞰的なアプローチを考えている。具体的には、単一ニューロンRNAseqにより、変態期のタイミングにおいて特異的に発現変動する遺伝子群のプロファイリングを終えているので、そのプロファイルと、上記の遺伝子群との比較をすることにより、ネットワークを推定し、その正否について遺伝学的手法でチェックを行う。これに並行して、マウスなど哺乳類の神経回路をモデルとして研究を行うことにより、共通メカニズムの抽出にも取り組む。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Spatial and temporal diversity of DCLK1 isoforms in the developing mouse cortex.2021

    • 著者名/発表者名
      Bergoglio E, Suzuki IK, Tsuji M, Togashi K, Takeuchi S, Koizumi H & Emoto K
    • 雑誌名

      Neuroscience Research

      巻: 170 ページ: 154-165

    • DOI

      10.1016/j.neures.2020.12.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Serum apolipoprotein A-I potentiates the therapeutic efficacy of lysocin E against Staphylococcus aureus2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Hamamoto*, Suresh Panthee*, Atmika Paudel, Kenichi Ishii, Jyunichiro Yasukawa, Su Jie, Atsushi Miyashita, Hiroaki Itoh, Kotaro Tokumoto, Masayuki Inoue, Kazuhisa Sekimizu
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 ページ: 6364

    • DOI

      10.1038/s41467-021-26702-0

    • 査読あり
  • [学会発表] Protein degradation systems in functional remodeling of Drosophila nociceptive circuits2021

    • 著者名/発表者名
      Kotaro Furusawa, Kenichi Ishii, Kazuo Emoto
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Cellular and Molecular Mechanisms of Circadian Regulation in the Mouse Olfactory System2021

    • 著者名/発表者名
      竹内俊祐、清水貴美子、深田吉孝、榎本和生
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] Neural mechanisms that control the initiation and termination of fear2021

    • 著者名/発表者名
      Haruka Kobayashi, Masato Tsuji, Kazuo Emoto
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] 種固有の脳サイズを決める組織間発生制御メカニズムの探索2021

    • 著者名/発表者名
      山内優季、鈴木郁夫、榎本和生
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] Antidepressant-Responsive Anhedonia in Drosophila2021

    • 著者名/発表者名
      Yuto Nishizuka, Masato Tsuji, Emoto Kazuo
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] In vivo calcium imaging in the ventral hippocampus during fear extinction2021

    • 著者名/発表者名
      Aika Saito, Akira Uematsu, Kazuo Emoto
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] Neural mechanisms that control the initiation and termination of fear2021

    • 著者名/発表者名
      Haruka Kobayashi, Masato Tsuji, Kazuo EmotV
    • 学会等名
      日本ショウジョウバエ学会
  • [学会発表] 恐怖による逃避行動の持続時間を規定する神経メカニズムの解明2021

    • 著者名/発表者名
      小林遥香、辻真人、榎本和生
    • 学会等名
      日本動物学会米子大会
  • [学会発表] Antidepressant-Responsive Anhedonia in Drosophila2021

    • 著者名/発表者名
      Yuto Nishizuka, Masato Tsuji, Emoto Kazuo
    • 学会等名
      日本動物学会米子大会
  • [学会発表] 大脳皮質進化を駆動したヒト特異的重複遺伝子の網羅的探索2021

    • 著者名/発表者名
      中野陽介、鈴木郁夫、榎本和生
    • 学会等名
      日本動物学会米子大会
  • [学会発表] マウスにおける恐怖消去学習を制御する視床皮質投射2021

    • 著者名/発表者名
      望月祐希、植松朗、榎本和生
    • 学会等名
      日本動物学会米子大会
  • [学会発表] A long-term tracking of a single cortical progenitor in the nascent organoid culture2021

    • 著者名/発表者名
      Xuanhao Zhou, Ikuo K. Suzuki, Kazuo Emoto
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 発達初期における「細切れ睡眠」の制御メカニズムの解明2021

    • 著者名/発表者名
      逸見知世、石井健一、榎本和生
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部第74回大会
  • [学会発表] ヒト固有遺伝子NOTCH2NLによるヒトらしい神経回路形成メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      石渡麗依那、鈴木郁夫、榎本和生
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部第74回大会
  • [学会発表] 全脳の自発活動パターンが、感覚応答を制御するメカニズムの解明2021

    • 著者名/発表者名
      植村友貴、辻真人、榎本和生
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部第74回大会
  • [学会発表] ショウジョウバエ幼虫における痛覚応答の日内変動2021

    • 著者名/発表者名
      本吉真菜、石井健一、榎本和生
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部第74回大会
  • [図書] 遺伝子命名物語-名前に秘められた生物学のドラマ (中公新書ラクレ, 742) 中央公論新社2021

    • 著者名/発表者名
      坪子理美、石井健一
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      中央公論新社
    • ISBN
      978-4121507426

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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