研究実績の概要 |
脱成熟現象で生じるスクラップアンドビルド機構の分子機序解明について、オプトジェネティクスを用いた脱成熟のモデルマウスのトランスクリプトーム解析とそのデータに基づいたインフォマティクス解析により、脱成熟の発生、固定化、および再成熟に関わる分子パスウェイを推定した。海馬歯状回特異的に光受容体チャネルロドプシンを発現させた成体マウスにおいて光刺激により神経過活動を誘導し、海馬歯状回のRNAシークエンスを行った。刺激の回数および最終刺激からサンプリングまでの時間等の条件が異なるグループのマウスについて解析を行うことで、脱成熟の発生、固定化、および再成熟に関わる分子発現変化をゲノムワイドな遺伝子発現パターンで体系的に評価し、各ステージにコアに関わる分子パスウェイ推定した。 海馬歯状回の脱成熟が、レビー小体型認知症と関連するβシヌクレイン変異を導入したマウスにおいても生じていることを報告した(Hagihara et al, Mol Brain, 2018)。さらに、神経の過活動によって引き起こされる脱成熟/未成熟様の遺伝子発現パターンが統合失調症やアルツハイマー病など複数の精神神経疾患において疾患横断的に見られることを明らかにした(Murano et al, Commun Biol, 2019)。 また、各種スクラップアンドビルド機構の神経回路・行動レベルでの機能評価として、前年度に引き続き、他の班員の研究から示唆されるスクラップアンドビルド機構のカギ分子を実験的に操作したマウスの行動試験を行った。
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