計画研究
植物ホルモンジベレリン(GA)は、核内受容体GID1により受容され植物の成長を促す。申請者らが、シダ植物の造精器誘導がこのGID1-GAシステムを介することを 明らかにしたように(Science 2014)、GAは元来、生殖ホルモンとして機能していたと考えられる。さらに、我々はシダと被子植物GID1の構造を比較し、GID1と GAの共進化を提案した(Nature 2008). また、GAの不活化と合成酵素との間においては、生殖過程における進化的軍拡競争が起きていることが予想された。以上 の研究背景に基づき、我々はシダから被子植物までの様々な進化段階におけるGID1とGAおよび、GA不活化・合成酵素について構造と活性の相関を調べ、共進化の 分子機構を解析する。そのために、(1)シダから種子植物までの様々な進化段階におけるGID1受容体と多様なGA分子種との構造や結合特性の解析(2) GAの合成・不 活化酵素の結晶化と解析(3)DELLAタンパク質の構造解析(4) 生殖関連アソシエーション解析、を行う。本年度は、イネの花粉特異的なGA3酸化酵素を主に解析をした。GA3酸化酵素について構造解析に成功し、特に花粉に発現するGA3酸化酵素１が、すべての他の2ODDファミリーに保存されているアミノ酸に変化が起きていることを明らかにした。この酵素の構造の違いにより、イネでは著量な非不活化型ジベレリンが花粉に蓄積することがわかった。この結果、イネはジベレリン依存的デンプン合成経路の活性化が起こり、花粉管の発芽・伸長に有利に働いていると考えられた。このアミノ酸変化は、野生イネが現在の栽培イネに進化する途中、すなわちGGゲノムからFFゲノムになるところで起きており、さらに発現の花粉特異性がその後の進化の中でおきていることを明らかにした。以上のことを論文として、投稿した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant and Cell Physiology
巻: - ページ: -
10.1093/pcp/pcab051
Nature Communications
巻: 11 ページ: -
10.1038/s41467-020-16068-0
Molecular Plant
巻: 13 ページ: 823～824
10.1016/j.molp.2020.05.001
Communications Biology
巻: 3 ページ: -
10.1038/s42003-020-1036-8
巻: 61 ページ: 1919～1934
10.1093/pcp/pcaa126
巻: 61 ページ: 1829～1831
10.1093/pcp/pcaa127
