計画研究
1) 弾性体や流体を用いたアナログ実験 不均一な断層面における地震活動をモデル化するため、ゲル表面に複数のアスペリティを配置した摩擦実験を行った。実験の特色は、駆動速度の制御のみならず高分子ゲルの強度不均一性の調整まで可能にしたことである。その結果、高速すべりに先行して発生するゆっくりすべりの時空間的挙動を捉えることに成功した。さらに、さまざまな動的挙動(応力・ひずみ場とすべり量の時空プロファイルや弾性波の検出)をその場観察により取得することで、すべり発生メカニズムを明らかにすることができた。これらに加えて摩擦構成則の定量化も行い、室内実験系から断層スケールへ外挿する理論的根拠を示した。流体系モデリングでは、幅広い時間スケールにまたがる埋め込まれたノイズが地震発生に与える効果を明らかにするために、粉粒体を混合した上で剪断実験系を構築した。その結果、岩石実験でみられる空間パターンをよく再現した。時空ダイナミクスも可視化し、スロー地震の発生過程に共通する変形挙動を見出した。2) プレート境界の数理モデル構築と解析 高速/低速という震源の運動の違いをより一般的な力学的挙動としてとらえなおすことを目的とした数理モデリング研究を行なった。滑り速度のみに依存する簡素な摩擦則を仮定することで定常的な断層端伝播の有無と、存在する場合はその伝播速度を解析的に求めた。ここでは地球に固有の特徴に依らずとも、そういった摩擦則に高速で安定な伝播と減衰していく伝播の二つが内在していることを明らかにした。また岩石中の流れが乱流になる・ならないが高速・ゆっくりの滑り過程に対応する可能性について示唆した研究もある。ここで見出した多孔質媒質中の乱流エネルギー・散逸率の初期値鋭敏性は地球科学に限らず工学的応用も期待される内容である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件、 オープンアクセス 6件)
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