計画研究
「光圧で拓く」では光圧によって粒子間相互作用を制御して、機能と秩序を創製することをミッションとしている。具体的には、角運動量を持つ光が創る光圧を駆使して、ナノスケールあるいはミクロンスケールの物質の配向・階層的配列・化学反応などを誘導する。また、光圧によるナノ物質の空間的濃縮や分離にも挑戦する。1992年、Allenが光波の軌道角運動量の存在を理論的に指摘してから25年の年月が経った。現在、光波の角運動量は、空間多重光通信をはじめ様々な分野で応用が検討されている。本研究では、角運動量を持つ光渦とナノ物質の相互作用を介して形成される階層的秩序構造を研究している。特に、光渦の全角運動量に対する塩素酸ナトリウムのキラル結晶化に注力した。アキラル結晶からキラル結晶へ相転移する際に、光渦の全角運動量がアキラル結晶に力学的にトルクを与えることでキラル結晶化を誘導することを明らかにし、鏡像体過剰率57%を達成した。現在、全角運動量の大きさは最大3であるが、さらに全角運動量大きくすることでより高い鏡像体過剰率が実現できる可能性がある。これは研究分担者である杉山との共同研究である。このほか、正負の光渦の混成モードである花弁状モードによってアゾポリマー薄膜上に多重螺旋構造を創生するなど、多様な空間スケールのキラル秩序化を実現した。さらに、研究分担者である飯田とキラル秩序化におけるマランゴニ対流の効果を数値シミュレーションで明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Optica
巻: 10 ページ: 332~332
10.1364/OPTICA.478042
Optics Express
巻: 30 ページ: 35136~35136
10.1364/OE.460962