| 研究領域 | 配位アシンメトリー：非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
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| 研究課題/領域番号 |
16H06511
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| 研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
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研究代表者 |
江原 正博 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 計算科学研究センター, 教授 (80260149)
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| 研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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| キーワード | キラル基礎理論 / 超分子アシンメトリー / 非対称反応場 / 自己組織化 / 金属ナノ粒子 |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題では、領域の掲げる新しい学理「配位アシンメトリー」創出の一翼を担い、新しい物質科学のための基礎理論を発展させ、実験と協力して超分子系のキラル光物性や不斉触媒反応を研究し、新しい化学概念や指標を提案することを目的としている。領域の班内・班間の共同研究を重視した研究を推進し、最先端の理論開発と応用研究を実施する。令和元年度は、実施計画で挙げた研究課題について下記の研究成果を得た。
(1)フレンケル励起子結合に基づく解析法を、分子集合系・積層系に適用し、強い発光と円偏光発光を得るための理論設計を実施した。新たに、修飾単層カーボンナノチューブ（SWNT）の化学修飾と光物性との相関について研究を開始した。特にナノチューブのキラリティと内径に基づく、近赤外光発光の波長制御について化学原理を見出した。(2)これまでにPd錯体を導入したMMFについてPd活性種が生成する機構を明らかにしたが、反応機構についてさらに深く検討するために大規模量子化学計算（QM/MM計算）を実施し、アリール機構およびアルキル機構に基づく機構の理論解析を実施した。界面アシンメトリーを活用した表面固定のCo3核錯体の構造やCDスペクトルについて理論解析を進展させる。 (3)自己組織化系に関する理論解析の研究では、金属イオンによる自己組織化系に関する新しい理論解析を実施した。特にAg-AMP-CMPの自己組織化系に関する研究では、溶媒和ダイナミクスの解析を実施し、自己集合による非対称性の発現の機構を明らかにした。(4)金属ナノ粒子のキラル反応場の理論解析では、凝縮相Pt-Pd微粒子触媒による室温のC-F結合活性化に関する理論解析を実施した。また、銀微粒子－吸着分子系の光学物性の非対称性に関して解析し、キラリティの起源や銀微粒子の超原子構造について理論的に明らかにした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で当初計画していた「配位アシンメトリ」の研究に寄与する基礎理論を開始することができ、実験と協力しつつ、班内および班間の共同研究を推進することができた。
(1)では、フレンケル励起子結合に基づく解析法を発展させ、分子集合系・積層系に適用するために、大規模系に適用できるように計算プログラムを改良することに成功した。さらに集積構造により円偏光発光の旋光強度を制御する指針を示すことができた。今後、実験との共同研究が期待できる。また単層カーボンナノチューブ（SWNT）の化学修飾と光物性との相関について理論解析を実施し、ナノチューブのキラリティと内径に基づく、近赤外光発光の波長制御について化学原理を見出すことに成功した。(2)では、班内協力研究を強力に進め、光誘起オレフィン移動反応を示すPd担持MMFの理論解析を大規模計算モデルに拡張して進展させた。また、界面アシンメトリー系である表面に固定したトリスサレン型コバルト三核錯体のCDスペクトルや非対称性に関する理論解析に成功した。(3)では、アデノシンモノリン酸（AMP）のAg(I)イオンによる自己集合形成や、シトシンモノリン酸（CMP）を共存させた場合の自己集合系の非対称な構造や光物性に関する研究を進展し、Ag(I)イオンの溶媒和構造や非対称なAg-AMP-CMPが形成する起源を明らかにすることができた。(4)の金属ナノ粒子の理論解析では、凝縮相Pt-Pd微粒子触媒によるC-F結合活性化の電子的機構を解明できた。さらに銀微粒子－吸着分子系の銀微粒子の超原子電子構造やキラリティの起源について明らかにし、班間共同研究として成果発表できた。
以上のように、研究テーマ全般について順調に進捗している。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究課題をさらに進展させ、実験と協力することによって、様々な化学事象に適用するとともに、応用研究からフィードバックし、より有用性の高い理論の開発を進める。また、当初計画した研究課題を推進していく。
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