計画研究
本研究課題では,領域の掲げる新しい学理「配位アシンメトリー」創出の一翼を担い,新しい物質科学のための基礎理論を発展させ,実験と協力して超分子系のキラル光物性や不斉触媒反応を研究し,新しい化学概念や指標を提案することを目的とした。領域の班内・班間の共同研究を重視した研究を推進し,最先端の理論開発と応用研究を実施した。新型コロナ感染症拡大の影響があり,令和3年度まで研究費の延長を行い,研究課題に取り組んだ。令和2-3年度は,実施計画で挙げた研究課題について下記の研究成果を得た。(1)フレンケル励起子結合に基づく解析法において,光学物性の計算の逆問題に基づく光機能性分子集合体の設計法を開発し,分子集合系・積層系に適用した。時間依存の電子状態理論に基づく量子逆設計理論を開発した。(2)これまでにPd錯体を導入したMMFについてPd活性種が生成する機構を明らかにしたが,QM/MM計算を用いた理論解析を実施し,反応機構および反応のエネルギー・プロファイルを解明した。また,新規なC@Au6系およびC@Au6Ag2系の非対称性に関する理論解析を実施した。(3)自己組織化系に関する理論解析の研究では,アデノシンモノリン酸(AMP)のAg(I)イオンによる自己集合形成や,シトシンモノリン酸(CMP)を共存させた場合の自己集合系の非対称な構造や光物性に関する研究を実施し,Ag(I)イオンの溶媒和構造や非対称なAg-AMP-CMPが形成する起源を明らかにした。また,ヘテロ環状配位子を有するPt錯体の燐光発光について,結晶構造場による励起状態の構造緩和について検討し,強い燐光発光の起源ならびに発光の熱耐性と芳香族性の相関を明らかにした。(4)金属ナノ粒子のキラル反応場の理論解析では,凝縮相銀微粒子-吸着分子系について大規模計算モデルによる理論解析を実施し,光学物性の非対称性の起源を明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 5件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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http://tc.ims.ac.jp/research_photophisical_chemistry.html