研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
16H06518
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
有賀 克彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50193082)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 超分子化学 / 表面・界面物性 / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は主に下記の二点である 1)界面環境を用いて力学的に自在に分子機能をコントロールする方法論を確立すること 2)この方法論において分子の新たなアシンメトリー機能を開拓すること 機能分子科学の究極の姿である分子マシン、分子デバイスは、実質的な応用を真剣に考えるべき段階に来ている。例えば、生体系においては様々な生体マシンが連動して機能することによって高度な作用を産み出すことはしられており、人工的なマシン分子おいても同等な機能が発揮され、従来研究の延長上にない革新的な進展が機能分子科学にもたらされるべきである。単なる化学・物理の研究と生体系の違いは、後者ではキラリティーなどのアシンメトリー性(非対称性)が大きく強調され、異方的・特異的な機能が得られている点にある。当該年度は新しい分子マニピュレーション機能の開発を行った。平面四配位白金錯体は種々の刺激で発光能が制御されることが知られているが、A02直田グループとの共同研究で、Double-Paddle型白金錯体を環状両親媒性分子の気水界面での分子マニピュレーションによる発光制御、「サブマリン発光」という新原理を開発した。Double-Paddle型白金錯体の単分子膜を気ー水界面に形成に両端から水面を圧縮すると、ある圧縮状態から発光強度が急激に上昇することが認められた。Double-Paddle型白金錯体の発光部位が高誘電媒体である水相から低誘電率媒体の気相に”浮上”することで、発光強度が増大することが分かった。ナノメートルサイズのアシンメトリック界面環境における分子マニピュレーションによって潜水艦様の光学特性制御をなす、「サブマリン発光」機構の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
サブマリン発光という新機能の開発や界面における幹細胞制など予想以上の成果が出た
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今後の研究の推進方策 |
マクロスコピックな力学操作と分子の機能というサイズの大きく異なる現象のカップリングは、次元の制限で達成される。例えば分子薄膜のようなアシンメトリーな界面二次元系では、膜の面内方向にはマクロスコピックな次元を持っており膜厚方向には分子の次元を持っている。したがって、膜面内方向に力学的摂動を与えたものが分子機能に反映される可能性がある。例えば、膜を数十センチメートル圧縮することによって、ナノメートルサイズの分子マシンや構造を容易にコントロールしうるのである。そこには界面キラリティーの制御などの新しい可能性が生まれる。 分子レベルの方法論の確立に続いて、それを階層的な機能材料へとくみ上げる技術開発に2020年度は取り組む。具体的には、渦流などの界面での力学的な流れを利用したアシンメトリー構造の集積化と二配位高分子型表面二次元ナノ空間の作成などに取り組む。さらに、液体界面における幹細胞の分化制御などの未知なターゲットにもチャレンジする。
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