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2019 年度 実績報告書

生後脳神経新生を介した「個性」創発機構

計画研究

研究領域多様な「個性」を創発する脳システムの統合的理解
研究課題/領域番号 16H06529
研究機関京都大学

研究代表者

今吉 格  京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60543296)

研究期間 (年度) 2016-06-30 – 2021-03-31
キーワード個性 / ニューロン新生 / 神経再生 / 神経幹細胞 / 光遺伝学
研究実績の概要

マウス・ラットなどのげっ歯類モデル動物を用いて、個性を研究するための方法論の開発を継続した。実空間とバーチャル空間における行動解析装置の開発に加えて、データマイニング技術を導入し、それぞれの実験動物の要素行動及びそれらの間の関係性を抽出することで、個性を顕在化させるためのプラットフォームの構築と充実を行った。本年度は構造学習と呼ばれるメタ記憶・学習パラダイムを使用して、動物の個性を研究するための実験系の構築を行った。特に空間学習に関与する構造学習について研究を行った。さらに、脳内顕微鏡や二光子顕微鏡を用いて、個性創発の神経基盤を研究するための計測技術の最適化を行った。具体的には、げっ歯類を対象とした空間探索課題、空間記憶・学習課題、ワーキングメモリ課題、匂いと報酬の関連学習を通じたオペラント学習課題において、高精度カメラやセンサーを用いた微細行動パターンの取得と、データマイニングによる新規の定量的指標の充実を行い、多変量解析等を通じて、様々な要素行動の表現型の記述とモデル化を行うための実験系の構築を行った。加えて、脳の発生・発達・成熟過程に介入する実験手法として、遺伝子発現の新規光制御技術の開発を継続した。特に、近赤外光を用いた光操作ツールの開発と、それによって可能になる多色光を用いた光操作手法の開発を行った。また、上述の解析技術を用いて、ニューロン新生が個性創発に与える影響を解析した。可逆的ニューロン新生阻害マウスを用いて、ニューロン新生の阻害がどのように動物行動レベル、神経回路レベルに表出する動物の個性に影響を与えるのかについて解析を行うために、ニューロン新生阻害マウスの繁殖と解析準備を行い、実験を開始した。これにより、動物の個性創発の新規メカニズムとして、ニューロン新生の新たな生理的意義を解析するための、実験体制が整いつつあると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

行動解析装置の開発に加えて、得られた実験データの解析プラットフォームの構築は順調に進展している。また、個性操作の基盤となると考えられる、脳の発
生・発達・成熟過程に介入する実験手法として、近赤外光を用いた新規の遺伝子発現の光制御技術の開発を継続し、予想以上の進展が見られた。

今後の研究の推進方策

行動解析装置の開発や解析プラットフォームの構築を継続する。また、動物個体の個性として顕在化してくる要素行動パターンを抽出し、その背景にある神経回路基盤との対応付けを試みる。神経回路の解析手法としては、自由行動化にある動物に脳内顕微鏡を装着し、神経活動パターンの解析を行う予定である。個性創発と関連のある神経活動パターンの解析を進める予定である。加えて、個性創発の分子基盤を研究するために、脳を構成する各種細胞の遺伝子発現のシングルセル解析を開始する予定である。また、個性創発に関与する神経基盤の解析のために、全脳イメージングの手法を導入する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Light-induced silencing of neural activity in Rosa26 knock-in and BAC transgenic mice conditionally expressing the microbial halorhodopsin eNpHR3.2020

    • 著者名/発表者名
      *Imayoshi, I., Tabuchi, S., Matsumoto, M., Kitano, S., Miyachi, H., *Kageyama, R. and Yamanaka, A.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 10 ページ: 3191

    • DOI

      10.1038/s41598-020-59984-3.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Light-mediated control of gene expression in mammalian cells.2020

    • 著者名/発表者名
      Yamada, M., Nagasaki, C.S., Ozawa, T. and *Imayoshi, I.
    • 雑誌名

      Neurosci Res.

      巻: 152 ページ: 66-77

    • DOI

      10.1016/j.neures.2019.12.018.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] High Hes1 expression and resultant Ascl1 suppression regulate quiescent versus active neural stem cells in the adult mouse brain.2019

    • 著者名/発表者名
      Sueda, R., *Imayoshi, I. (equal contribution), Harima, Y., and *Kageyama, R.
    • 雑誌名

      Genes Dev

      巻: 33 ページ: 511-523

    • DOI

      doi: 10.1101/gad.323196.118

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhanced lysosomal degradation maintains the quiescent state of neural stem cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T., Piao, W., Takamura, T., Kori, H., Miyachi, H., Kitano, S., Iwamoto, Y., Yamada, M., Imayoshi, I., Shioda, S., Ballabio, A. and Kageyama, R.
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 10 ページ: 5446

    • DOI

      doi: 10.1038/s41467-019-13203-4.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 神経幹細胞の制御機構 と生後脳ニューロン新生2019

    • 著者名/発表者名
      今吉 格
    • 学会等名
      第21回 京都大学・生命科学研究科シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 遺伝子発現の光操作技術 と神経幹細胞研究への応用2019

    • 著者名/発表者名
      今吉 格
    • 学会等名
      Chemistry For Neuroscience 2019
    • 招待講演
  • [学会発表] Regulatory mechanism of neural stem cells revealed by optical manipulation of gene expressions2019

    • 著者名/発表者名
      今吉 格
    • 学会等名
      ExCELLS若手リトリート
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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